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ソードアート・オンライン クリスマス・ウェイ
ボス攻略(3)
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「……私は、楽しみです」

 見つめていたユイの瞳に涙の膜が薄く盛り上がる。そろそろと俺のコートの合わせのあたりをにぎりしめ、そっと頬をよせてくる。

「あそこで……二十二層の森で、私はパパとママに出会いました。暮らしたのはたった一日ですが……あそこは私にとっても、他のなににも代えがたい場所……」

 まるで着せかえ人形のような指先にくっ、力がこもる。もうそれだけで十分だった。
 俺は指先でユイの頭をなでてやりながら覚悟を決める。
 戦場に目を向けるとアスナと盾役のスイッチが終わり、新たなローテーションに入ろうとしているところだった。
 以前、ヴェンディゴは自身の背を壁際に寄せ、正面の盾役連中を両手昆で追い立てている。このまま攻め続ければ、おそらく問題なくボスは倒せる。攻撃役が必然的に稼いでしまう増悪値をクールダウンさせ、盾役がタゲをとり続ける。それがセオリーだ。だが必然的に時間がかかる。

「そろそろ――我慢の限界なんだよな。俺のフラストレーション値が」
「え?」

 ユイが俺を見上げて首を傾げる。俺は笑いながらもう一度だけユイの頭をなでる。コシのある黒髪の感覚を指に得てから、俺はユイに告げた。

「アスナに伝言たのむ。やつのタゲをとるけど、たぶんノックバックか……のけぞり発生するはずだから、タイミングを逃さずに総攻撃を頼む、ってさ。あとついでに晩ご飯早く食べたいと伝え――」
「最後のはともかく……なにかやる気ですね、パパ」

 つっこみも手慣れたもの――になった愛娘に苦笑しつつ。

「ああ。準備できたら連絡くれ、とも頼む。俺はいつでもいけるからさ」
「わかりました。ママが喜ぶ……ことですよね?」
「もちろん。一分でも早く……俺もあそこにたどり着きたい」
「ふふ……パパ。ALOのドームに挑戦したときと、同じ顔をしてますよ。わかりました! 伝令役、確かにお受けします!」

 最後ににっこりと笑うと、ユイは再び涼やかな音をひびかせて、アスナに向かって一直線に飛んでいく。

「……あの妖精さんって、NPCだよね?」
「え、あ、うん。あいつはちょっと特別製っていうか、変っていうか……」

 隣の白コートアバターの存在をすっかり忘れていた。フードの下からわずかにのぞく口元から笑みがのぞいている。

「パパにママか……子供なのかな? お兄さんと、あのおねえさんの」
「ああ。変……だよな」

 ふるふると白コートが首を横に震った。
 
「素敵……じゃないかな、たぶん。だってこのVR空間じゃ……子供はほしくっても無理だもん。たとえあの子がNPCでも、あの子がお兄さんとおねえさんをパパ、ママって呼んでて、お兄さんとお姉さんがあの子を子供みたいに思っているなら、すごい素敵な……んんっ、ごめん。うまく言
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