その34
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ようになった引き金を、あれが引いてしまったのだとしてもだ。
だからこそ、それを見極めようとナルトもしているのだろう。
だから、サスケは、いつも通りにナルトをはぐらかしてやればそれでいい。
けれど。
サスケがナルトに向き合い、今、ナルトを受け止めてやれば、幾分かは、ナルトが己を偽って生きていかなくても良くなるのではないだろうか。
己を偽り、ナルトが歩もうとしている道は、ナルトにとって、破滅しかないようにサスケには思える。
それは、忍であるなら、大なり小なり誰しもが抱える物だし、ナルトに関わり続ける気の無いサスケが口出しできる問題でもない。
何故なら、サスケにも復讐が。
うちはの因縁と、一族の仇を。
兄との、訣別と決着が。
そして、その為に、必要な物は。
そんな風に揺れるサスケが、心のままに、ナルトに触れるべきではない。
そう、サスケは思うのに。
何も知らないナルトは、無邪気にサスケなんかに催促するのだ。
「私の事、嫌い?」
真っ直ぐに自分を見つめて、不安げに揺れるナルトの視線に追い詰められて、サスケは再びナルトから視線を逸らした。
けれど、見慣れた青い瞳が、見慣れない様に揺れるのを、サスケはどうしても許容出来なかった。
あんな風に揺らしたくはないと、強い気持ちに押されて、口から言葉が零れ出た。
「別に、嫌いじゃない」
素直に吐露してしまった本音のぎりぎり具合に、サスケは内心ひっくり返る。
そこまでナルトに伝える気は、サスケにはなかったのに。
これでは、サスケがナルトを切り捨てる時、ナルトをより傷付ける事になってしまう。
それに、ナルトは意外と鋭い。
今のサスケの言葉から、サスケの中の何かを敏感に察されても仕方ない。
ナルトと居るのが苦痛ではない要因の一つではあるが、それでも今は。
サスケが自分の失態に、動揺仕切っていた時だった。
目の前にあったナルトの不安げな表情が、あからさまに安堵の表情に変わった。
「嫌われてなくて良かった〜」
本当に、それ以上気付いて居ないらしいナルトの、心底嬉しそうなナルトの笑顔に、サスケの胸に、ちりり、とした不快感が芽生えた。
「ありがとう、サスケ」
「別に」
にこやかに笑い、機嫌良く歩きだしたナルトの軽い足取りに、何だかサスケは不機嫌になっていった。
サスケ自身の抱える事情を思えば、ナルトがサスケの失言から深く察して来なかったのは僥倖だった。
これがきっかけで、変にナルトと気まずくなるよりは、まだ良かった筈だった。
それこそサスケが望んでいた筈なのに、何だかそれが面白くない。
自分は一体、何をしたいのだろう。
良く分からない苛立ちをサスケが抱えた時だった。
「えへへへ。ねえ、サスケ。私ね、いつかサスケにも、私と同じくらい好きになって欲しいなって思うの。そう思
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