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NARUTO 桃風伝小話集
その34
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の問いかけに、殆ど意味はない。
子が親に問いかける類いの代物だ。
だから、サスケは、素直に応じてやればそれでいい。
分かっている。
分かっているが!
ナルトの見た目は、中身相応の幼い物じゃない。
紛れもなくサスケと同年代の女の物だ。
それに、今のナルトは、いつものように、どこか少し野暮ったい少年のような姿ではなく、見慣れない形ではあるけれど、女物の愛らしい装束に身を包んでいて、安心させる為だけだろうと、口先だけでもナルトに対する好意を伝える為の言葉を口に乗せるのが、普段よりも、尚更困難だ。
それに、こうして改めてナルトを見ていると、常々、ナルトが男物に身を包んでいるのは、何か勿体ないような気がした。
普段の野暮ったいあの格好は、ナルトには似合っていないことに気付く。
今までナルトは、男として生きる為に、合わない物に自分を合わせる努力を必死にしてきていたのだろう。
サスケとの仲違いを、心底厭って。
そんな無駄で、明後日な努力を何年もし続けたナルトは、心底馬鹿で、ドベなウスラトンカチだとは思うけれども、それでも、そんなナルトがいじらしいと思う気持ちが無いでもない。
自分の側からサスケなんかを失いたくないと、本気でナルトがそう思ってくれた証拠だから。
ナルトと出会って、サスケがナルトと付き合うようになってから、早六年。
その間、ナルトがサスケの為に費やした、ナルトの時間は決して少なくはない。
それに、多分。
きっと、そんな風に。
ナルトは、ナルトには合わない努力を、まだまだこれからもし続けるだろう。
サスケと同じく、復讐者として、ナルトが修羅たらんとしている限り。
生き物が傷付く事を嫌い、慈しんで育む事こそを好んでいるナルトには、逆立ちしても到底無理な、徹底的にナルトに合わない道なのに。
それでも確かにナルトの置かれた境遇では、そうするしか無いのもサスケにも理解できる。
ナルト本人の気質はどうあれ、サスケに食らい付いて来れるほどのナルトの努力は認められる。
素直にサスケもその貪欲さを見習おうと思う時がある。
だからこそ、目の前のナルトの、見慣れた真っ直ぐにサスケを見つめる青い瞳が、サスケに対する期待と不安で揺れている様から目が離せなくなった。
ナルトを抱き寄せて、胸の中に抱え込んで抱き締めたいという欲求が浮かんで来てしまっていた。
先日、九尾のあれやこれやのどさくさの最中に、無我夢中でサスケがしてしまった時のように。
恐らく、拒絶はされないだろう。
ただ、そうしてしまえば、サスケはナルトに、サスケの行動の理由を問われる。
ナルトには、サスケにそうされる理由など、見透かされて居ない筈なのだから当然だ。
この前のあれは、あくまでも緊急時故の事だと理解されている筈だ。
こうやって、ナルトがサスケに対して甘える
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