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NARUTO 桃風伝小話集
その33
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ちらちらとあからさまにナルトの身体の際どい所に向けられていた。
それなのに、そんな相手にナルトは笑みを向けている。
限られた相手にしか滅多に浮かべないはずの笑顔を。
サスケから見ても、下劣な下心しか透かし見えない男相手に。
訳もなく怒りが込み上げ、サスケは二人に向かって猛然と向かって行った。
ところがサスケの姿に気が付くと、ナルトは途端に顔を顰め、ふい、と、あからさまにサスケから顔を背けた。
ここ暫く、ずっとナルトに取り続けられている態度に、いい加減、サスケの我慢も限界になっていた。
腹立たしさが膨れ上がる。
イライラとした気持ちを隠さず、横に立つ男に寄り添うように、堤防として積み上げられた石垣に腰掛けているにナルトに向かって声をかけた。
「ナルト。帰るぞ」
「やだ。サスケ独りで帰れば?僕、まだここに居るし。カカシ先生にも言ってあるもん。サスケにどうこう言われる筋合いはないよ!」
いつもなら、二つ返事でサスケに付いてくるナルトが、ぷいっとサスケから顔を背けて、ふてくされた声で拒絶してきた。
ナルトからの思いがけない反抗に、思わずかちん、と来ながら、それでも面白くない気持ちを圧し殺し、サスケは辛抱強くナルトを説き伏せようとした。
まさか、ナルトの機嫌を損ねた弊害が、こんな形で現れるとは。
面倒と放置していた判断を、後悔する。
少々眉を顰めつつ、ナルトに対する下心しか見えない男に、牽制の視線を送りながら、ナルトを諭す。
「良いから。行くぞ」
「やだ!行かないって言ってるだろ!?サスケのバカ」
訳もなく拗ねた声で罵倒され、頭に血が登りかけたが、ここでサスケが激昂してナルトと決裂した場合、ナルトを見舞うだろう危険を思い、ぐっと堪えたその時だった。
ナルトの相手をしていた男が、ヘラヘラと笑いながら、サスケに対する優越感を滲ませた態度で割り込んで来た。
「ほら〜。ナルトちゃんもこう言ってるんだし、お呼びじゃない奴はとっとと帰りな。ナルトちゃんはお子様はお呼びじゃないんだってよ」
取るに足りない一般人の男が、蔑んだ瞳でサスケに勝ち誇りながら、サスケに向かって投げ掛けてきた言葉は、これ以上なくサスケの感情を逆撫でしてきた。
知らず知らずのうちに、両目の写輪眼を発動させて男を威嚇する。
「黙れ。死にたくなければとっとと失せろ!」
「ひっ!何だよ、その目!ばっ、化け物だ!!」
その途端、男は呆気なく叫び声をあげ、ナルトを置いてさっさと一人で逃げ出した。
そのみっともない姿を鼻で嗤う。
三下と呼ぶのもおこがましいような相手に何を言われようと、サスケは気にもならないが、それでも少しだけ胸に軋む物があるのを認めた。
化け物。
サスケの誇りでもあるこの瞳を見て、そう呼ばれるのは、あまり気持ちの良いものではない。
なんの力も持た
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