第二章
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だがこうなったのも縁と思ってだ、彼は答えた。
「じゃあな」
「宜しくね」
二人で話してだ、そしてだった。
諸星は用務員として定年後すぐに働くことになった、学園の理事長にも採用を認めてもらってだった。
学園の中で働きはじめた、朝から夕方まで学園内の雑用を受け持っていたが。
時々学校、高等部の理事長である八条義朝にある日作業中に尋ねられた。長身で恰幅がよくいつもいいスーツを着ている初老の人だ。
「何かご覧になられましたか」
「学校の中のことですか」
「諸星さんは普通科の用務員さんなので」
「普通科のことで」
「はい、何か見られましたか」
「ないですね」
諸星は理事長に素直に答えた。
「別に」
「そうですか」
「はい、平和なものです」
こう理事長に答えた。
「学校の中は」
「それならいいですが」
それでもとだ、理事長は彼に言った。
「何かあれば」
「その時はですか」
「私にお話して下さい」
「理事長にですか」
「是非。宜しいでしょうか」
「わかりました」
諸星は理事長に答えた。
「その時は」
「はい、お願いします」
「そうさせてもらいます」
答えはしたがだった。
諸星は何故理事長が自分にそんなことを言ったのかわからなかった、そえで首を傾げさせてだった。
仕事が終わって家に帰ってからだ、妻に尋ねた。
「何かあったらとかな」
「そう言われたのね」
「理事長さんから直々にね」
「またそれは」
その話を聞いてだ、妻も言った。若い時は可愛かったが流石に孫もいて立派な初老の外見になっている。
「どうしてかね」
「そう思うよな」
「ええ、用務員さんっていったら」
学校のとだ、妻は夫に話した。
「言うなら学校の雑用担当で」
「先生でもないしな」
「やることもね」
「学校の細かいことばかりでな」
「特にね」
これといって、とだ。妻も言った。
「学校の責任者の人からね」
「聞かれることはないな」
「ええ、私そう思うけれど」
「俺もだ、どういうことなんだ」
諸星はお茶を飲みながら言った、実は酒は飲めないので飲むのはいつもお茶だ。甘いものは何でも好きだ。
「結構大事そうなな」
「そんな感じだったのね」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「俺もな」
「不思議に思ってるのね」
「そうだよ、まあ学校の中をな」
「お仕事で」
「色々歩き回ってるけれどな」
雑用、それをしてだ。
「校舎の裏とかもな」
「普通生徒さんがいない様なところも」
「色々回ってるな」
「毎日そうしてるのね」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「学生だった時と違うものはな」
「見てるのね」
「そうもしてるな、これがな」
「
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