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妖精のサイヤ人
第五話:決着!そして決勝戦へ!
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「……そうか」

ギクリは目を瞑り、そして包帯の下で笑みを浮かぶ。この少年は、既に得ていたのだな。守るものが。
理想が、夢が。ああ…なら、どうか、どうか。

「堕ちるなよ、ネロ。…夢を抱き、大切な者を守りながら、困難が続く道であれど、挫けたとしても、堕ちるでないぞ」

「…?はい…??」


首をかしげるネロを微笑ましく想いながら、ギクリはネロのこれから先に幸福を願う。どうか、真っ直ぐな求道者とあってくれることを。夢を叶えれていることを―――絶望と、合わずにいられることを。
真っ黒な、あの翼にどうか…何も奪われないで生きてくれることを切に願うギクリだった。

(…なんでそんな目で見るんだ?…精神年齢が同じくらいのやつにそう見られるのって…複雑だなぁやっぱり…)

肉体年齢、10歳のネロ・ハバード。彼の成長は、まだまだ続く。

★★★★★★★



「えー…ネロくん。決勝戦やれるかい?観客たちがどうも決勝戦が気になっていてね…駄目そうだったら全然言っていいから―――」

「―――あ、大丈夫です。是非やらせてください」

「ね―――えええ!?」

クロッカス武道会、もう武舞台もなくなり、すぐに新しいのを用意ができないからまた別の日に決勝戦をやろうとしたスタッフたちだが、観客にいる者たちが場外ルールなし、舞台なしでいいから決勝戦を始めてくれという要望が多数あった。それでもいいのならスタッフたちは構わないが、ある意味問題なのは選手だ。ラクサス・ドレアー少年は体力に余裕があり、怪我もないことから問題なく決勝戦を行えるが…ネロ・ハバードは違う。先の試合で彼は文字通り全てを出し尽くして第二試合を突破した。
満身創痍、疲労。とても決勝戦を行えるような状態ではない。だからこそ、ネロ選手が回復した日にでも続きをやろうとしたスタッフだが、ネロ本人は問題ないというお達しだ。
だが、本人がそう言っても彼の状態を見てとてもすぐに試合を行えると思えないのだ。
そんな時、ネロはスタッフにお願いしたのである。

「自分の荷物を持ってきてもらって、その後少しドアの外で待ってもらっていいですか?」

言われたとおりにネロ少年が持ってきた旅の持ち物が入ってあるリュックサックを手渡して部屋の外で待つこと数分、スタッフは目を疑うような出来事が部屋から出てきたのである。

「ありがとうございます。これでまぁ大丈夫なんで。で、いつ決勝戦します?」

傷なんてなかった、と無傷になったネロが黒い瞳をキラキラと輝かせながらこちらを見ていることを。
え、この子さっきまでボロボロだったんじゃ?え?あ、よく見たらさっきまで着ていたジャージが破れたままだ…いや…えええええええええ!?


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