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妖精のサイヤ人
第五話:決着!そして決勝戦へ!
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んなに強くなっても、自分では倒せない領域にいる「彼ら」のことを諦め、もうただ自分の棒術を極めることだけを決め手人生を歩んできた。
最初はただ無心に、強くなって強くなって、そして強くなった自分が誰でも守れるような、大切な人たちのための強者になりたかった。
理不尽に出会ってしまえば、もうそんな夢も叶うことは永遠にないだろうと無意識に諦めていた自分に、目の前の少年はぶつけてきた。
勿論、この茜色の少年は何も知らない。ただ、強くなりたい「一心」で闘い、そして自分よりも経験や実力のある己と、対等に闘えるまでに強くなり、そして己の中の衝動すらも最後まで抗った。
別にこの少年を見て苛つきと、憎しみ等を抱いたわけではない…しかし、こうも自分とは違い、そして未来だけじゃなく、強くなろうとするその意気込みが…何故か自分が悔しくなってしまうのだ。
自分の中では経験のために、次の種になるためにとか言い訳しながら、昔の自分のように…いや、自分よりも前向きに生きているこの少年の未来が、気になるようになった。
だからこそ、問いたい。彼にとっての「強さとは」。
そして、強くなったその先に、何を見るのか。

「それを探している途中ですかね」

「…なに?」

探している、だと?どこがだ、其方は某よりも前に、そして目標を持ったように歩んでいるだろ。何故、そこにわからないと答える?
10歳相手に大人が何を問いかけているのか、と誰かが見てたら答えそうな絵図だが、それをツッコム者はいない。
ただ、己の中で整理していない者と答えようとする者しかいないのだから。

「一番の目的は…憧れている人みたいになりたいだったけどさ…でもその人みたいになるにはまだ色々足りないんだ」

「…」

「足りないから…今旅して強くなろうとしている。けど…そう簡単に見つからなくて…けど」

ネロは思い出す。自分がこの世界で今まで出会ってきた人たちを。家族である姉とかローズマリー村にいるエルザや協会の人たち…そして旅で出会った動物や旅人とか。そして――転生させてくれた神。
もう、前世で家族や親友、そして娯楽で得た知識しか思い出せなくなってきている自分だが、そんな自分に最後まで罪を償おうとした神はどこか人臭くて、ドラゴンボールの住人かななんて思ったことがあった。
オレは――強いヤツとも戦いたい、けど。強くなって守りたい人たちがいる。なら、その人達を守れるくらい強くなりたい。

「…ああ、そうだ。オレ…守りたいんだな」

ただ、そんな言葉が零れ出てしまった。
強いヤツと戦いたい、そして大切な人たちを守りたい。簡潔で単純で、なんともまぁ…けどこれが「らしい」でいいのではないだろうか。強くなりたいというのは…単純な理由でいい。


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