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妖精のサイヤ人
第五話:決着!そして決勝戦へ!
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、拳を地面に叩きつけたであろう茜色のサイヤ人。ネロが息が荒いながらも、まっすぐギクリをその赤い眼光で睨みつけていた。

「次で…次で最後だ…まだやんぞ…ッ!」

ネロがその言葉を吐き捨てた時、ギクリは自分の口角が上がるの感じた。
そして次に自分の気持ちが久方ぶりに高揚するのも感じて、棒を突きの型にして深く構える。

「――ならば、自身の最大の技で決着付けるとしよう!そのほうが格好が付くだろう?」

汗が溢れ出て、身体が震えながらもネロは安心するように、そして好戦的な笑みを浮かべる。
一瞬であれ、理性が呑み込まれかけたネロだがある光景が脳に過ぎったことに理性が留まった。
その光景は――初めて大猿となった自分をなんの疲れもなく当然のように倒した姉の時だ。
あれは彼の中ではトラウマであり、そしてこの戦闘衝動を抑えるのに良き薬となる思い出だ。トラウマであるが。
だが、そのおかげでいま成し遂げたい決着をつけられる。今一度、自分に修行をつけてくれた姉に深く感謝しながらネロは自分の中にある理想の人物が得意とする技を構える。
腰まで両手を持っていき、何かを包み込むかのように両手を上下に構える。その両手の中心に、自分の中にあるありったけの気を収束させる。後の試合なんて関係ないと言わんばかりに。残りの力を残さないと言わんばかりに。青い気が収束し、周りをその青い気の輝きが日差しの光を無視するかのように周りを青く照らしす。

「―――!かぁ…!めぇ…!」

「フゥ…ハァッ!!」

ギクリも己の中の全てを引き出さんばかりに魔力の全てを溢れ出す。身体強化を限界なまでに。
命が絶つとまではいかないものの、しかししばらくは起き上がれないだろう力を溢れさせる。目の前の少年に己が磨き上げてきた技の全てを曝け出すために。

「これが…最後だ!!」

「はぁ…!!めぇ―――!!」

お互い正しく全身全霊。後先考えずに自分の力を使い果たそうとする二人。しかしそれを止めようと思う者は観客の中にはいない。ただ二人がどんな光景を魅せてくれるのか。
その舞台に最後まで立った者が誰になるのか。
舞台の上にいる選手の二人は、その目に宿す炎を極限にまで燃やすかのように相手を睨み続け――そして。

「波アアァァァッ!!!」

「雄オオォォォッ!!!」

全身に魔力を惑ったギクリは地面を蹴り、立っていた場所の周りの舞台の一部だった瓦礫を撒き散らすようにネロへと跳んだ。
一瞬。
秒すらも超えた世界の先、そのときにギクリの武器である棒はネロの胴体に突き刺さるだろうと目で追っていたマカロフにはそう確信していた。
一瞬にして一歩が遅かったネロの攻撃。勝負はギクリ・ムースの勝利か。
そんな最後になる
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