暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱してないシンフォギアG〜装者達の日常〜
月と聖夜とあなたの横顔
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クリスマスパーティーの後、弦十郎と了子は仮設本部の甲板に出ていた。

装者達は恋人と共に、藤尭と友里を初めとした何組かのカップル職員も街へとデートに出ている。

今、二人以外で残っているのは、後片付けを申し出た職員達か、独り身か、弦十郎と了子を陰ながら見守っている見守り隊職員のいずれかである。

「デートの締めって、もしかしてここなの?」
「ああ。夜景の綺麗な場所なら、もっといい場所はあるのだろう。緒川や翔に聞くべきかとも迷ったのだが……俺はやっぱり、ここが一番だと思った」
「ふーん……理由を聞かせてもらおうかしら?」
「俺達が守っているものが、ここからなら一番よく見える。広く見下ろすのではなく、同じ視点から見渡すこの国の人々の営みだ。……君と二人でそれを見るなら、ここ以外有り得なかった」

それを聞くと了子は、納得した顔で笑った。

「そういうことね……。変に背伸びしようとしない、弦十郎くんらしい理由だわ」
「不満か?」
「いいえ……負けたわ。そんな事言われたら、ロマンチックさ感じちゃうじゃない」

そう言って了子は、弦十郎に身を寄せる。

気が付けば、空からは雪が降り始めていた。

白い月光と、色鮮やかな街明かりを反射して輝く白銀の結晶。

昼間のデートで贈られた、新品のコートに身を包んだ弦十郎が、了子のしなやかな肩をそっと抱き寄せる。

「弦十郎くん、月が綺麗ね……」

ふと、了子がそんな事を呟いた。

すると弦十郎は、首を傾げて答える。

「何を言っているんだ。お前の方が綺麗に決まってるだろう?」

「ッ!……今のは反則じゃないかしら……」
「事実を言ったまでだ。今日のお前は、一段と綺麗だよ」
「もう……柄にも無いこと言っちゃって〜」

弦十郎の脇腹を小突きながら、満更でもなさそうな顔で、了子は頬を赤く染めていた。

「……なあ、了子。俺からのプレゼントも、受け取ってもらえるか?」
「弦十郎くんから?いつの間に買ったの?」
「その……前から渡そうと思っていたのだが──」

弦十郎の右手はポケットの中。そこに入っているのは、手の中に収まる程の小さな箱。

彼の口から了子に、”その言葉“が伝えられるまであと僅か……。



「翔、雪が降ってる……」

髪を乾かし終え、先にパジャマに着替えた彼女が窓の外に目を向けている。

窓の外には欠けた月と、色鮮やかに光りを放つ街、そしてそれらに照らされながら、しんしんと降り積もる白い雪が広がっていた。

「本当だ……。ホワイトクリスマスだね」
「うん……」

広がっていく雪景色に見蕩れる彼女の横顔を、翔はじっと見つめる。

ロマンチックな雰囲気に包まれ、時間は徐々にその流れを緩やかにしていく。

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