第百三十五話 趨勢は決したがその六
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「勝てばな」
「その後で、ですね」
「そこからだ」
「敵の本城も囲み」
「降伏勧告も行なってな」
「寛大な処置を出しますか」
「そもそも最初から厳しい処置なぞ考えていない」
英雄の考えの一つだ、敵であっても降る者には寛容で命は奪わず有能な者は重く用いていっている。
それでだ、この度もというのだ。
「敵が降ればな」
「それで、ですね」
「構わない、用いるしな」
「そうもしていきますね」
「是非な、そして」
それでだ、こうも言ったのだった。
「九州を完全にだ」
「手に入れますね」
「人もな」
こう話してだった、英雄は今度は肥後の掌握を進めた。肥後の国人達は英雄が熊本城を手に入れ薩摩の軍勢を破ったのを見てだった。
その多くが降った、だが肥後の南は違い。
英雄はそちらには兵を向けて降した、そうして肥後も手に入れたが。
日向の話を聞いて彼は強い声で言った。
「完全にか」
「あちらもであります」
報をする峰夫が答えた。
「無事に」
「そうか、ではな」
「それではでありますね」
「少し兵を休め」
「その後で」
「薩摩と大隅にな」
この二国にというのだ。
「東西からな」
「同時に攻め込むでありますね」
「そうする、そして陸の兵が休んでいる間に」
「水軍を動かして」
「琉球と種子島をだ」
こうした島々をというのだ。
「手に入れる」
「陸の兵が休む間に」
「水軍の英気は充分だな」
「その様であります」
実際にとだ、峰夫は答えた。
「どうやら」
「ならだ」
「湖からも攻める」
「そうする、俺達は交代の形で休んでいるが」
「敵は常に攻められている」
「そうなっているからな」
それだけにというのだ。
「敵の疲弊、精神的なそれはかなりだ」
「そうなりますね」
「だからだ」
「今度は琉球とでありますか」
「種子島だ」
こちらだというのだ。
「攻めていくぞ」
「それでは」
「薩摩と大隅に封じ込めてそこからさらに攻めれば」
そうなればというのだ。
「敵もだ」
「精神的に余計にですか」
「追い詰められたと思い士気もだ」
「落ちるでありますね」
「そうすればな」
「降る兵もさらに」
「増える、だからだ」
それ故にというのだ。
「ここはだ」
「島もですね」
「攻めるぞ」
「それでは」
峰夫も応えた。
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