第六十八話 上洛に向けてその十
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「また言うがな」
「そして信濃のこともですな」
「左様、やはりな」
「他の国に実際に入り」
「そして見て回ることもな」
「大事ですな」
「百聞は一見に如かずとも言うな」
「はい、それは国も然りで」
元康もこう返した。
「そして、ですな」
「こうして機会があればな」
「見ていくことですな」
「それがお主の糧になるからな、拙僧も都におった頃は」
また優しい笑顔になってだった、雪斎は話した。
「都の周りの国々をな」
「巡っておられましたか」
「機械があればな、また駿河や遠江も」
領地であるこの二国もというのだ。
「そして三河もな」
「しかとですな」
「見て回ってな」
そうしてというのだ。
「知っていった」
「地図で見るだけでなく」
「さらにじゃ」
「まさに百聞は一見に如かずですな」
「そういうことじゃ、では川中島まで見ていき」
そしてと言うのだった。
「川中島もな」
「見るのですな」
「あの地は特別でな」
「何でも平地で」
「大軍同士がぶつかるによい場所で」
「しかも長尾家にとっては」
「あそこで武田家を抑えねば」
それが出来ればというのだ。
「長尾家にとっては危うい」
「左様ですな」
「既に海津城を築かれておる」
「あの城はまさに越後の喉元で」
「武田殿は抑えとして築かれた」
決してそこから越後を攻めるつもりはないのだ、あくまで信濃を統治する為の守りとして築いたのだ。
だがそれがとだ、雪斎は元康に話した。
「しかし長尾家から見ればな」
「あの城があることが」
「実にじゃ」
「厄介ですな」
「あの城は春日山城から近い」
上杉家雪斎達が今言う上杉家の本城であるこの城とだ、尚雪斎達は長尾家と呼んでいるがこれは盟約を結んでいる武田家への気遣いからだ。
「だからじゃ」
「あの城が厄介で」
「長尾家としてはな」
「それ以上進むのを止める」
「それと共に長尾殿は厄介な方で」
「先程信じられると言われましたが」
「その信じられるご気質がな」
輝虎のそれがというのだ。
「この度大きく関わっておる」
「村上殿や小笠原殿に頼まれてで」
晴信に領地である信濃から追い出された彼等にだ。
「そして幕府から見て」
「うむ、武田殿は甲斐の守護であられ」
「信濃は小笠原殿が守護ですが」
「その信濃を手中に収めた」
「そのことがですな」
「許せぬとなってな」
輝虎の考えではというのだ。
「それでじゃ」
「武田殿を懲らしめる」
「そのお考えからも信濃を攻められておる」
「越後を守られるだけでなく」
「ましてやあの御仁は関東管領の座も受け継がれた」
上杉家の家督を継いでだ。
「それでじゃ」
「幕府の秩序を守られる」
「そのお考え
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