第7章:神界大戦
第228話「潰えた導き」
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域”の時点で動けはしない。
「どの道、貴方にこの“闇”から逃れる術はありません……!さぁ、さぁ!私を、私だけを見てください!乗り越えようと、倒そうとしてください。貴方の可能性を、輝きを見せてください!私はそれを見たいからこそこうまでして貴方を追い詰めているのです!さぁ、さぁ、さぁ!さぁ!だから―――」
「ッ……!」
刹那、イリスが真正面に肉薄してくる。
そして、耳元に囁きかけるようにしなだれかかって来た。
「―――お願い。私だけを見て」
「っ、く……お断り、だ……!」
“闇の性質”から、イリスからは魔性の気配もする。
闇へ堕とすだけでなく、人を魅了する事も出来る。
神夜に魅了の力を与えたのも、この側面からだろう。
今のもその一端だ。明らかに、僕を魅了しようとしていた。
「……どうして?なぜ?どうして私を見ようとしないのですか?なぜ、貴方は私の愛を悉く拒もうとするのですか?なんで、どうして、なぜですか……!?」
「ふざけるな……!一方的に無理矢理押し付けて、拒まれないと思ったか……!」
「……そうですか……」
一歩離れ、イリスは俯く。
その様は、まるで告白して断られたかのようだ。
だが、実際の本質はそんなものではない。
「……他に目を向けるから、そんな事を言うんですね。でしたら、私にも考えがあります。ええ、最初からこうすればいいんです。貴方を手に入れるにはやはり外堀から埋めるべきだと。そのためにもまずは……」
「お前、まさか……!」
「無理矢理にでも、貴方には堕ちてもらいます」
「がっ……!?」
顔を掴まれ、泥のような“闇”が押し当てられる。
まるで染み込むように、それは僕の中へと入ってきて……
「っづ、ぁ……ぁ……あ゛……!?」
「堕ちろ、堕ちて、墜ちなさい……!」
「が、ぁああぁああぁあああああぁあああああぁぁぁあああああああああ!?」
侵蝕される。意識が、意志が、魂が、心が、何もかも。
黒く、暗く、昏い闇へと、無理矢理引きずり込まれていく。
そこに、抵抗の余地はほとんどない。
辛うじて踏み止まるだけで、決して振り払う事は出来ない。
「貴方は私だけを見てればいいの。それ以外はいらない。必要ないの。だから、私を見て、私だけにその輝きを見せて。さぁ、早く……早く……!」
「ぐ、がぁ……ぐ、ぎっ……!」
“違う”と、“ふざけるな”と、心で叫ぶ。
しかし、それは深淵の闇へと呑まれるように、届かない。無意味に終わる。
それでも、最後の一線だけは超えないように心で藻掻き続ける。
「ねぇ、私は貴方を愛したい、愛したいの。そのためだったらなんだって
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