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おっちょこちょいのかよちゃん
28 戦災孤児の苦悩
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まさかかっぱらんたんじゃないよな?」
「いや、まさか!ちゃんとお金だしたよ!」
「あんたそんなにお金あったかしら?」
「あ、信じられないはなしだけど奈美子ちゃんが持ってる不思議な護符がお金を出してくれたんだ」
「そうか、よかったな」
 まき子の非現実的な話に珍しく両親は疑いもしなかった。昨日の不思議な杖を見た影響もあるのだろう。夕食は白米に肉は牛肉だったので、まき子の杖の力でビーフステーキにして食べた。
 まき子は父の「まさかかっぱらんたんじゃないよな?」と疑う台詞から市場で出会った戦災孤児の少女の事を思い出した。
(あの子、どうしてるのかな・・・?)
 まき子は彼女が気になってしまった。

 まき子は次の日も食料調達の為に出掛けていた。あの市場にもう一度行ってみようか考えた。だが、奈美子がいないとお金は出せない。いつもと異なる道を歩いている時、路上で寝ていたり、ただ何もせずに座っていたりしている子供達がいた。彼らは戦災孤児だとすぐにわかった。その中には昨日の少女もいた。
「おい、お前」
 まき子は一人の少年に呼ばれた。
「金か食いもん持ってたらよこせ」
「な、ないよ」
「ほう、お前、俺達が親失くして自分はこうならなくて良かったって思ってんだろ?」
「そ、そんな事ないよ!むしろ辛そうに見えて気の毒だよ」
「同情なんかいらねえよ!あっち行け!」
 少年に言われてまき子はその場を離れざるを得なくなった。
「う・・・」
 まき子はあの戦災孤児達の事を考えると他人事になれなくなった。そしてしばらくして奈美子が訪れた。
「お〜い、まき子ちゃん」
「奈美子ちゃん・・・」
「どうしたの?」
「あの、実は昨日の子に会ったんだけど、沢山同じように親を亡くした子がいたんだ。奈美子ちゃんの護符で何とかできないかなって思って・・・」
「そうか、できるかな?」
 奈美子は己が持つ護符を見た。その時、護符が光り出した。
「何だろ?」
 その時、一人の男性が舞い降りてきた。
「君達」
「は、はい?」
「我が名は十次と申す。君らはあの戦災孤児の子達を救いたいと思うかね?」
「はい、あの子達がとても辛そうなのです」
「よかろう。私が政府やGHQに談判してこよう。いい知らせができたらまた君達の前に現れて教えるよ」
 十次はそう言って消えた。
「それだけ?」
「本当にやってくれるのかな?」
 二人は半信半疑になった。

 総理官邸。当時の内閣総理大臣は復興への行動に追われていた。
「はて、休憩するか」
 その時だった。
「総理」
 自分の他、誰もいないはずの部屋から声がした。
(な、何だ!?疲れすぎによる幻聴か!?)
「私は十次という異世界から来た者である。生前、この国で児童福祉に励んだ者だ」
「はあ!?
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