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さよならが待つ向こう側へ
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よう気を付けながら、緩やかな曲線を指でなぞって瞼を閉じる。忘れる訳がないじゃんか、貴方だってちゃんと分かっているクセに。でも、ありがとう。

『あいしてる』

 そっと声に出さず、吐息だけを零す。それだけで、"わたし"と私の気持ちはきっと彼に届く。やがてゆっくりと引き上げられる感覚に身を委ねるが、もう一回、あの色を目に焼き付けておきたかった。けれど時間ならば仕方がない。開きかけた瞼は下ろしたまま、またねと呟けば、温かい風が頬を撫でた。

 少女の姿が溶けて消え、変わらず色彩の欠けた部屋――美しい青を失った花瓶に、まるでその色を移し替えたかのような瑞々しいバラが一輪だけ挿してあった。







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