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君と過ごす夏

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 いっそ毒々しいほどに真っ赤なそれを、小さな舌が幾度もなぞってゆく。

「しっかし飴とはお子様だなぁ、いでっ」
「どうせオコサマですー! ありがと」

 素直に可愛いと言った所で照れ隠しをされると思い、あえてからかいの言葉と共に買ったばかりの林檎飴を差し出したが、逆効果となり抓られてしまった。頬を膨らませ顔を背ける仕草がより幼く映るも、きちんと礼が返ってくる辺りが愛おしいのだが。
 ちら、と横顔を盗み見る。嬉しそうに噛り付き、舐め取る様が提灯の明かりと相まって欲を煽られるのは、既に彼女の味を知っているからだろうか。

「そんなに見つめてもあげないよ?」
「……いらねぇって」

 残念ながらそっちじゃないんだよなあ。胸中で呟きつつ、落とさぬよう飴を握り込む手を包む。もう片方の腕で身体を引き寄せれば甘ったるい香りが鼻を掠めた。

――もう熟れただろ?

 囁くより早く、恋人の柔い唇を奪う。なあ、オレの熱もうまいこと喰ってくれよ。






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