手を伸ばす先に
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心の底から願おうと、泣き叫ぼうと変わらない、変えられない本質だと分かっていた。それでも確かに貴方はわたしの導き手で、絶妙な距離を保ったまま先を進んでいく。その歩みは不思議なことに、こちらをよく把握していた。緩やかになったかと思えば急に早まったりするものの、決してわたしを置き去りにしないのだ。
「高を括ってられるのも今のうちだよ」
「あ? 何か言ったかー」
「ううん、なんでもない」
器用に片眉だけを上げていた男の見慣れた背を見据える。目一杯地面を蹴って、限界まで腕を伸ばす。あと少し――もう少しで届く。髪と共に靡く羽織の、フード部分を引っ掴んだら、いつもより丸くなった宝石のような赤へ、最高の笑顔を焼き付けてあげる!
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