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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百二十七話 決戦に向けて準備です。その2
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声だったが、アンジェはティファニーが言おうとしていることはわかった。

「何も聞かなかったことにするわ」

 アンジェは背を向けた。これ以上聞けば自分の心が決定的に揺れ動いてしまう。そんなことをしたくはなかった。それでいて一息にティファニーを始末すれば良かったのに、それもできないでいる。そんな自分に腹が立ってきた。

「でも――!」
「裏切りたいなら勝手にすればいいわ。私はあなたとは違う」
「前世からの因縁なんてそんなに大事な物なの?」

 アンジェは振り返った。ティファニーはすがるような眼をしている。必死さが現れていた。

「もう私は嫌・・・うんざりだもの。どう考えてもおかしいのは私たちの方だよ」
「・・・・・・」
「あの人は満足するでしょう。けれど、私たちはどうなるの?ラインハルト、キルヒアイス、そして主席聖将たちを殺した後に何があるの?」
「・・・・・・」
「何もないよ・・・・。終わった後には何も残らない」
「少なくとも、私には残るわ。閣下のために尽くしたというその誇りが。私はそれだけで十分。十分すぎる。何故かと問う?その答えは、私たちは既に何百億という人間の屍で閣下の道を舗装する手助けをしてしまったからよ」

 それだけ言い捨てると、アンジェは踵を返して去っていった。残されたティファニーはじっと唇をかんでいた。

「アンジェ・・・・私は今本当の自分の気持ちがわかった。あなたの言う事に賛同できない。たとえ何百億を殺したからといって今行動すれば助かるかもしれない何百億を殺し続ける理由にはならない!」

 ティファニーは決意すると、踵を返して立ち去った。無機質な薄暗い廊下がその足音を吸収していった。

* * * * *

 首都星ハイネセンに向けて進撃を続けるティアナ、ミッターマイヤーが銀河基準面北方マールヴァラ星域外縁部に到達したのは、ヴァーミリオン星域会戦が始まる2日前、帝国暦488年8月29日だった。
ここまでくれば、ハイネセンは手の内にある。しかし、ティアナの気持ちはここ数日晴れなかった。いくらラインハルト、イルーナが決断したこととはいっても、敵の地の利があるヴァーミリオンという宙域で兵力分散をしていいのか。しかも相手はシャロンなのだ。

「・・・・・・・・・」
「心配しておいで、ですか」

 ミッターマイヤーに話しかけられたことにティアナはすぐには気が付かなかった。

「ごめんなさい。少し考え事をしていたの」
「というと?」
「今回の戦いは、双方が雌雄を決するものになることはわかっているから・・・だからこそ、何かが起こるのではないかと・・・バカね、こんな時にとりこし苦労もいいところだわ」
「いや、フロイレイン・ティアナ。実を言うと私もそれを思っていたところです」
「あ
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