ボス攻略(5)
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四連撃の剣閃が、通常時を考えればじれったくなるほどの緩やかに決まる。
直後、俺はソードスキルの硬直につかまり、ウェンディゴは技を完成させた。両眼の炎が、俺たちをせせらわらうように揺れ、ウェンディゴの頭上で回転していた両手昆が動きをとめる。重範囲攻撃は完成した。もう、ウェンディゴのソードスキルを止める手段は無い。遠慮をする必要もないだろう。奴はアルゴリズムに乗っ取り、あの両手崑を思い切り地面に突き立て、その衝撃で俺たちのHPを吹き飛ばす。即死級のコンボに巻き込まれ、ダメージディーラーは壊滅。経過時間からして盾役の連中もHPを回復しきれていないだろうから、おそらくターゲットは後方のメイジ、ヒーラー隊に移行する。そうなればレイドパーティが全滅し、第二十一層ボス攻略は失敗となる。
それを防ぐ手段はただ一つしかない。奴のHPを削りきる。ただそれだけ――。
ソードスキルの発動中及び硬直中はアバターの座標を固定されるため、俺は空中で硬直したままだ。連撃のソードスキルにつきものの束縛だが、今回ばかりはこの硬直が必要だ。
「ごめん! キリトくん!」
四撃目をくりだし、ウェンディゴにむかって軽く前傾して硬直している俺の背を、何かが蹴った。斜めがかりで背中に装備された片手剣の「鞘」に加重がかかった。何が乗っかろうとこのコンマ数秒は座標を固定されているから、俺の体はアスナの体重を引き受けてもまるで動かない。
空中の足場――背中の鞘の二点をたたっ、と踏み、勢いそのまま飛ぶ。
「い……やぁぁぁぁ!!」
氷白色の彗星が再度、瞬く。
位置関係上、突き上げ気味に細剣ソードスキル|《ニュートロン》がウェンディゴのクリティカル・ポイントに突き刺さった。
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