ボス攻略(5)
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結果として、俺は賭に勝つことができた――後に、アスナからは「アレはずれてたらまずかったよねー」とか、リズから「あんな無茶して外したら本当に格好わるかったわねー」とかさんざん言われたが。
天地逆、つまり逆さまの状態で突き出された単発重攻撃|《ヴォーパル・ストライク》は、ウェンディゴのカウンターが当たるまえに、クリティカル・ポイントである赤角に突き刺さった。
――ぐわぉぉぉぉぉんっ!
どう考えても口腔のない身体のどこから絹を裂くような悲鳴を上げているのかは不明だが、ウェンディゴのボスモンスターのクリティカル・ポイントへのダメージボーナスで五メートル近く吹き飛んだ。頭部をおさえながらのけぞるウェンディゴ。時間にしてわずか一、二秒に満たないだろうが、この明確な隙を見逃すほどALO攻略組は甘くない。
ソードスキルの硬直につかまり、空中で静止する俺のわずか一メートル先を、単標準なれど高威力の魔法弾が飛び行った。
スケルトン系の弱点属性である魔法が一直線にウェンディゴへ伸びていった。
水、聖属性の魔法弾の着弾に、火属性、土属性の魔法につきものの特大の爆発音はない。鶴の鳴き声のごとき甲高い音と、ガラスを粉々に粉砕する炸裂音が部屋中に響き渡る。。
殺到した魔法はエフェクトになってはじけ、その姿を雪煙や白色光へと変える。光のエフェクトに目を焼かれつつ、俺は身体を一回ひねってから地面に着地した。
着弾時の白と青のエフェクトが晴れると、ウェンディゴの双眼炎がゆらりと燃え上がる。
そこにあるのはまさしく邪神の立ち姿だった。
怒りを身に秘めた骸骨が直立しつつ、燃える視線を周囲に走らせ――。
再度、体をのけぞらせた。
魔法のエフェクトが終わるや否や、ダメージディーラーがウェンディゴに殺到し、上位のソードスキルを叩きつけはじめたのだ。
先ほどの魔法よりも色とりどりのエフェクトが、花火もかくやの勢いでウェンディゴの周りに咲き乱れる。そも、ダメージディーラーの人数は、通常のボス攻略戦よりも少ない。これは迷宮区攻略のために探索職や支援職、回復職の層を分厚くしなければならないので仕方がない。
本来、ボス攻略とは、そうした探索職がトラップや宝箱、ボスのパターン解析を十分におこなったあとに人員を振り分けるものなのだ。
そんな理由からなだれ込むようにボス攻略を行うことになったレイドパーティにダメージディーラー少ない。ただし――そのダメージディーラー組には、俺の仲間が多数存在していた。クライン、リーファは完全に戦闘系スキル構成。エギル、リズは半分商人系、または鍛治系スキルだが、十分なダメージソースたりえるし、シリカ、アスナは支援と回復が終わればすぐに前衛に加われる――。少々前のめり感はいなめないが、この手の追撃戦では本当
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