第百三十四話 熊本城攻略その十
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「敵に囲まれてやられる様なことはな」
「されんな」
「そうなっては元も子もない」
「これまでの苦労が水の泡や」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「それはだ」
「避ける為にやな」
「深追いはせず」
「周りをしっかりと見るな」
「先の先までな、若し敵が少し戦ってすぐに下がるなら」
そうした動きをしてくるならというのだ。
「追撃はしない」
「その時は」
「罠にかかる気はない」
だからだというのだ。
「決してな」
「それがええな、一見退いてもな」
「それが罠ということはな」
「ままにしてある」
敵も必死だ、そうした策を仕掛けてでも勝とうとする。そうしてくるからだというのだ。
「やっぱりな」
「だからだな」
「慎重にな」
「こうした時こそな」
英雄は耕平に話した。
「そうする」
「ほなな」
「それとだ」
英雄はさらに話した。
「九州の水軍の動きだが」
「ああ、それな」
「これといってない様だな」
「そっちは幸正の奴がやってくれてるさかいな」
「あいつがだな」
「もう隙を見せたら攻める」
岸から上陸してというのだ。
「そういう風にな」
「動いているからか」
「そやからな」
「敵の水軍は動けないか」
「そや、本拠地の薩摩に上陸するとかな」
「そうした動きを見せているからだな」
「それでな」
その為にというのだ。
「連中はな」
「動けないか」
「そや」
まさにというのだ。
「それでや」
「連中は動かず、だな」
「こっちにもな」
「仕掛けてこないか」
「そんな余裕がなくなってるわ」
幸正の動きによってというのだ。
「戦は陸だけでせん」
「湖や川でも行うからな」
「あいつもええ働きしてくれてるわ」
「全くだな」
「そういえば」
ここで峰夫がこんなことを話した。
「バイキングは」
「北欧の戦士達だな」
「西の浮島でもいるでありますな」
「見たことはないが知っている」
デルフォイの図書館で彼等のことそして彼等がいる地域について書かれた書を読んだ、それでなのだ。
「あの連中のこともな」
「そうでありますね」
「あの連中は西の浮島では比較的大人しい」
「我々の世界でよりも」
「湖賊そのものの連中もいるが」
海賊とも呼ばれることもある、海のないあちらの浮島でも。
「しかしだ」
「大人しいもので」
「大抵はモンスターと戦いな」
「交易を行っているでありますが」
「バイキングは船から何処にでも攻められる」
「それであります」
まさにとだ、峰夫は英雄に話した。
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