暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第9話:魔法使いとは?
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
職員達の彼を見る目が変わった。中には恐れに近い目を彼に向ける者も居た。

 そんな中、彼に近付く者が居た。奏だ。彼女は足早に彼に近付くと、何の警告も無しに彼の頬を容赦無く引っ叩いた。
 颯人はそれを避けも防ぎもせず、大人しく引っ叩かれた。

 突然の暴力に対し、颯人は驚くほど穏やかな表情だった。まるでそうされるのが当然であるとでも言うかのような様子だ。

 引っ叩かれたことで微妙に明後日の方を向いていた彼は、小さな溜め息と共に奏の方に顔を向けた。そのあまりにも穏やかな目に、その異質さに多くの者が息を呑む。

 ただ1人、奏を除いて…………。

「お前──!? 何でそこまでしてッ!?」
「カッ! それ奏が言う? 知ってるよ、奏がシンフォギアってのを扱えるようになる為に、劇薬を過剰投与して生死の境を彷徨ったって事」
「ッ!? お前、どこでそれを?」
「ウィズ経由で。ま、この件に関してはお互い様って事でいいじゃねえか。俺はお前の為に、お前は俺の為に命を掛けた訳だ。おっと、こいつは相思相愛って奴かな? おっちゃんどう思うよ?」
「むっ!? 俺か? いや、いきなりそんなこと聞かれてもな…………そっちに関しては俺も経験ないし…………」

 突然話を振られて狼狽える弦十郎。実際彼には恋愛経験はないので、この手の話を振られても答えることは出来ない。
 尤も今のは別に答えを求めて話を振った訳ではないので、答えてもらえなくても問題はなかった。狼狽える弦十郎の様子に颯人はおどけた笑みを浮かべた。

「はっはっはっ、だろうね。おっちゃんてそういう方面には疎そうな見た目してるし」
「そ、そんなに分かり易いか?」
「これでも人を見る目はある方だと自負しててね」
「おいっ! 話を逸らすなッ!?」

 先程と全く関係のない話を続ける颯人に業を煮やした奏が掴み掛る。胸倉を掴みそのまま壁に押さえつける奏を、翼と響が慌てて宥めた。

「奏ッ!?」
「奏さん、落ち着いてくださいッ!?」
「落ち着けだぁッ!? 落ち着いて、こ、こん、ッ!? く、う…………」

 最初は感情のままに動いていた奏だったが、翼と響の2人に必死に宥められ、更にはあまりにも穏やかな颯人の顔に勢いを失ってしまう。

 動きの鈍った奏を翼と響が引っ張ろうとするが、それよりも早くに颯人が逆に奏を優しく引き寄せた。

「分かるよ、お前の気持ちも。だから後でな。後でゆっくり話そう」

 一切の悪ふざけもなく、真摯に告げる颯人に奏はそれ以上何かを言う事は出来なかった。何かを堪える様に俯き、小さく頷くとゆっくり彼の胸倉から手を離した。

 翼や弦十郎達が見守る前でゆっくりと自分から離れていく奏を見て、颯人は続きを話そうと口を開く。

 その直前に、司令室内に警
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ