第六幕その十一
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「この戦の後でもずっと武田家には劣勢だったしね」
「長篠の戦の後でもって」
「相当だよね」
「まだまだ武田家は強くて」
「徳川家では敵わなかったのかな」
「そうだったんだ、まだ武田家は強かったんだ」
長篠の戦いで負けてもというのです。
「その武田家にずっと劣勢で武田家が滅んで真田家が残っていてもね」
「その真田家には勝てなくて」
「関ヶ原でも大坂の陣でもそうで」
「それで真田家が嫌いだったんだ」
「それで何度がお取り潰しも考えたしね」
幕府もそうしようちしたというのです。
「結局しなかったけれどね」
「ううん、それで松代に移らさせられたんだね」
王子はここまで聞いてこのことを理解しました。
「何というかね」
「真田家も色々あったんだよ」
「そうみたいだね」
「けれど幕末までね」
「続いたんだね」
「そうだったんだよ」
「幸村さんみたいに粘り強かったんだね」
こうも思った王子でした。
「つまりは」
「そうだね、結局最後まで残ったからね」
「随分と粘り強いお家だったんだね」
「諦めない戦をしていたしね」
「どんな敵でもだね」
「知恵も武芸も使ってね」
「だから恰好いいしね」
王子はお蕎麦を食べつつ笑顔で言いました、王子のお蕎麦も皆のお蕎麦もあと少しだけになっています。
「そうした戦いのことも」
「そうだよね」
「特に幸村さんが恰好いいね」
「その人柄もね」
「うん、ただ真田家全体がなんだ」
「そうだよ、知恵と勇気を兼ね備えていて」
そしてというのです。
「凄く強くてね」
「恰好いいんだね」
「武士というには少し特殊で」
「忍の格好よさも入ってるんだよね」
「十勇士のこともあってね」
「あの人達は実在じゃないんだよね」
「モデルになった人達も入れたら実在していたよ」
先生は王子にもこのことをお話しました。
「巷談や創作の世界だけかというと」
「そうでもないんだ」
「そうなんだ」
「そうだったんだ、実在とも言えるんだ」
「十勇士の人達もね」
「成程ね、じゃあその真田家所縁の場所にも」
「皆で行こうね」
こう言うのでした、王子にも他の皆にも。
「そうしようね」
「それじゃあね」
王子が皆を代表して頷きました、そしてです。
王子はお蕎麦の残りを食べて先生に言いました。
「さて、じゃあね」
「お蕎麦を食べたらだね」
「長野市を案内してくれるんだね」
「うん、そうさせてもらうと」
先生は王子に笑顔で答えました。
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