暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン19 幕間の妖狐
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真剣にあらゆる可能性を詰めようとする。

「そのアホども、今から開催までにとっ捕まえられないのか?」
「それができるなら我々の手でとっくにやっていますよ、単細胞。かなり派手に動いているはずなのですがどれだけ手を尽くしてもまるで足取りが掴めず、運び込まれたカードどころか奪われた新型『BV』内蔵デュエルディスクの行き先すらわからない。ここまで尻尾を掴ませないとなると、もう当日までにどうにかするのは無理ですね」
「現場を押さえるしかないか。犯人の狙いは、デュエルポリスの権威の失墜と同業他社の壊滅、そして新技術の奪還。となると、起爆のタイミングはデュエルフェスティバルの状況を見て一番盛り上がる瞬間か」

 鼓の分析に顎に手を当て、少しの間沈思黙考する糸巻。今回の開催地として彼女が押さえたのは、駅前広場。これまでにも何度か別のイベントで使用されたことがある、ある程度開けた地である。周辺には小さなビルが立ち並んでおり、中には一般市民の住むマンションも存在する。

「ふむ。そーなると、少しは場所も絞れてくるな。それでも面倒な仕事には変わりないが」
「ちなみに、今回の参加者はどれほど決まっていますか?もしよろしければ、私の方でも息のかかったデュエリストを何人か参加させたいのですが」
「お前の?あー、青木のおっさんとかロブの奴あたりか。あと、朝顔の舎弟とかか?」
「ええ、なので3枠程度ですね。私自ら出ていくのも手ではありますが、あまり私が表に出るとそちらの彼がうるさいでしょう?」
「……誰のせいなんだかな」
「はてさて。で、どうします?こちらが提供できる情報は、全てお出ししました。あとは貴女が首を縦に振るか、それとも横に振るかですよ」

 そちらの彼というのは、言うまでもなく鳥居のことだ。巴とて無論、自分との邂逅が彼の体と心にどれほど深い傷を刻み込んだのかは承知している。
 ただ、承知したうえでそれをえぐっていくだけのことである。いくらデュエルポリスとは根本的に敵対する立場にあるとはいえそれを趣味と実益の両立と公言してはばからないその感性は糸巻との不仲の……特に14年前から顕著になったその関係の、星の数ほどある理由のひとつに数えられる。

「はー……結局、最後はアタシが決めなきゃいけないのか」
「私に振るなよ?ここはお前の管轄だからな」
「だよなぁ……」

 もちろん状況と最悪の事態を考えれば、巴とここで手を組まない選択肢はない。それは糸巻自身、頭ではよく分かっていた。しかしそこで即断できずに、彼女にしては珍しく歯切れの悪い調子でぽりぽりと頭をかく。
 無論そこには、糸巻自身の巴に対する個人的な嫌悪感もある。だが、彼女とて一応はいい大人である。理由がそれだったならば、ぐっと堪えてこの一大事を乗り切ることもできる。事実この場を任され
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