ターン19 幕間の妖狐
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がいいところでしょう。しかし、そんな呼び方はどうだっていい。彼はいいデュエリストでしたし、私の顔に泥を塗った罪は重い。落とし前は付けていただかないと、ねえ?」
「んなこと聞きたいんじゃねーよ。なんでそこに、アタシらを絡ませる必要がある?勝手に潰しあってろアホ」
「私も、できることならそうしたかったんですがね。ただ今回の場合、私の個人的な感情を横に置いてでもデュエルポリスを巻き込んだ方が効率がいいと判断しまして。この町に荷物が運び込まれた、そんな話は聞いていませんか?」
「……!」
一本松一段と、朝顔涼彦。点と点でしかなかった2つの襲撃事件が、1本の線で繋がった瞬間だった。
「その中身、カードですよ。カードショップはもちろん焼き討ちを免れ保存されていた好事家のコレクションや、果ては小学校のタイムカプセルに入っていたデッキまで掘り起こしてかき集められた大量のカード。鎖付き爆弾、パイナップル爆弾、破壊輪……よくもまあこんなに集めたものだと思いますが、大量の爆薬系カードです」
「そうか、そういうことか……!」
そのラインナップから犯人の狙いを悟った鼓が、やられたと小さく呻く。そしてそれは、糸巻も同感だった。2人の頭に浮かんだ筋書きを、巴がなぞるように言葉にする。
「カードは集められ、『BV』は奪われた。決行はデュエルフェスティバル当日……一斉に実体化されたそれらのカードが爆発を起こせば、どれほどの破壊力を生み出すことか。少なくとも、この町ひとつは軽く吹き飛ぶでしょう。なんなら、この国の地図の形すら変わりかねません。デュエルポリスの権威は地に堕ち、私どもも無事では済まなくなる。まったく、派手なことを思いつくことだ」
「……いや、待て。それだけの爆発を起こすとなると、起動役も無事では済まないだろう。新型『BV』とやらも一緒に吹き飛べば、その技術もロストするのでは?」
「いい質問ですね、流石はフランス支部代表。ですが、その点も抜かりはないようです。爆発系カードと同時に少量ですがホーリーライフバリアー、ピケルの魔法陣、バリア・バブルといった防御系カードの流入も確認されていますから、それを利用して自分だけダメージを防ぐつもりなのでしょう。ご丁寧に水陸両用バグロス Mk−3なんてのも1枚混ざっていましたから、この町一帯が水没しても問題ない、ということですね」
さわやかな朝の日差しが照らす中、重苦しい沈黙が立ち込める。もはや事態は、ただの襲撃事件に留まらない。当初彼女たちが考えていたよりも、はるかに切迫していた。
「……とまあ、私から言えることはこんなところです」
そういって話を締める巴だが、当然それで終わるはずがない。いったい何桁単位で犠牲者が出るかもわからないような話なのだ、流石の糸巻も
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