ターン19 幕間の妖狐
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、それまで黙って話を聞いていた巴だった。
「身元特定の必要はありませんよ。被害者は私も、そして貴女がたもよく知る人物です。『二色のアサガオ』、朝顔涼彦。一連の流れによる2人目の犠牲者は、彼です。そしてそれを重く見たからこそ、私はよりにもよって貴女相手におてて繋いで仲良しごっこをしに来たんですよ」
「朝顔ぉ!?嘘だろ、アイツが?」
朝顔涼彦、かつての二つ名は『二色のアサガオ』。主にこの町の周辺をテリトリーとするプロ崩れの裏デュエリストであり、【インティ&クイラ】と【Sin】の2つの要素を操ってのシンクロ召喚と大型モンスターによる蹂躙を得意とする実力者。フランス帰りの鼓にとっては懐かしい同業者の名前でしかないが、糸巻にとってはつい先日に発生した精霊のカード事件で顔を合わせたばかりである。
そして驚愕と同時に彼女が感じたのは、この場に八卦がいないことは不幸中の幸いだったという安堵である。廃図書館での暴走を経てあの少女があの男、そしてその舎弟に対しなぜか懐いていたことは彼女にも見て取れた。そんな存在が意識不明の重体にまで追い込まれたというのは、あまり本人に聞かせたい類の話ではない。
「……この間見た時は、まだアイツの腕は落ちてなかったはずだが。それでも負けたのか」
「ええ、彼は昔と同じくいいデュエリストでしたよ。腕が立ち、度胸もあり、人を惹きつけ場に馴染む力も申し分ない。だからこそ、私も彼に一任していたんです。それが完全に裏目に出ましたね」
「一任?何の話だ?」
さらりと出てきた一言を聞き逃さなかった鼓に詰め寄られ、やれやれと嘆息する巴。
「ああ、そういえばそちらはまだ掴んでいないはずの話でしたね。となると、そこから話さなければいけませんか。私の持つ……いえ、持っていた例の新型『BV』。どうも最近、それを狙ってくだらない動きがありましてね。そちらから見れば私たちは一括りに『BV』を使うテロリストかもしれませんが、その技術のひとつ下ではこれで結構派閥もあるんですよ」
「……そうだろうな」
その言葉に頷く2人。かつての事件によって職を、地位を、生活を追われすべてを奪われたデュエリストは多い。そのマネージャーや専属記者などの関係者も含めれば、その数は決して馬鹿にならない。もしも復讐者と化したテロリストが一枚岩ならば、いくらデュエルポリスが奮闘しようともソリッドビジョンの実体化、その数の暴力で世界は今よりもはるかに悪い状況に陥っていただろう。
しかし、現実はそうはなっていない。デュエルポリスの発足以降、いつだって世界は薄氷の上で綱渡りするような不安定かつ脆い小康状態をどうにか保ってきていた。
それはつまり、敵の内部で何らかの足の引っ張り合いが今なお行われているということに他ならない。誰も口に出しはしないが、デュエ
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