ターン19 幕間の妖狐
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、自分に前科がいくつあるのかわかってんのか?わざわざ顔出すとはいい度胸だな、コラ」
「任意同行を求めても構わないか?ひとつ断っておくと同行の義務はあるが、拒否する権利をやるつもりはない」
デュエルディスクを構えたまま臨戦態勢をとる、それぞれその二つ名では夜叉と武者とまで称された2人の有無を言わさぬ無言のプレッシャー。常人ならば完全に戦意喪失してその場にへたりこむ、どころか失禁してもおかしくないほどの圧力を前に、しかし巴はまるでそんなもの感じた風もなく、ただ肩をすくめるのみにとどまった。
「ああ、怖い怖い。勘違いしないでいただきたいのですが、今日の私は貴女らデュエルポリスに喧嘩を売りに来たわけではないのです。むしろその逆ですね」
「逆、だあ?なんだ一体、寝ぼけてんのか」
「……貴女に馬鹿にされるのは人一倍腹が立ちますね。ですが自体は急を要することですし、ここは単刀直入に話しましょう。まず……」
そこまで口にしたところで、またしても鼓の携帯がけたたましい着信音を響かせる。意味ありげな笑みと共にどうぞ出てください、とジェスチャーする巴からは目を離さずに、素早く片手で取り出したそれを耳に当てる。そこから聞こえてきた言葉は、その腕ひとつでデュエルポリスフランス支部長にまで上り詰めた百戦錬磨の彼女にとっても驚くべきものだった。
「この番号、さっきの病院からか?こちらデュエルポリス。すみませんが、少々手短に……なんですって!?」
電話口に声を荒げると、隣の糸巻が普段目にしない彼女の動揺に眉をひそめる。それでも巴からは決して視線を外さないのは、彼女がプロだからだ。一方その巴はといえば、相変わらずホールドアップしたまますべてお見通しだと言わんばかりに薄く笑う。その表情が気にかかったものの、電話口の向こうで自分よりもひどいパニックに陥っている看護師をなだめる方が先かと気を取り直す。
「……失礼しました。迅速な報告、ありがとうございます。何か被害者の身元を示すものは……そうですか。外傷は……なるほど。では言うまでもないでしょうが、引き続き治療をよろしくお願いします。もし何か判明しましたら、お手数ですがこちらに連絡をお願いします。では」
通話を打ち切り、先ほどまでよりもさらに一段と厳しい目つきで巴を睨む鼓。
「おい、一体何の電話だったんだ?」
「緊急搬送。先だっての一本松一段と同じ、デュエルディスクを装着した男が全身火傷による意識不明の重体で担ぎ込まれた……!」
「はぁ!?昨日の今日で、また誰かやられたってのか!?」
「ああ。何せ身分証明になりそうなものは全部燃えていたそうだから、まだ身元も不明だがな。だが火傷の具合からいって、同じ手口なことは間違いないらしい」
新たな被害者。声を張り上げる糸巻に答えたのは
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