ターン19 幕間の妖狐
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
段。以下個人情報は省略、と。狙われた理由は……まあ、明らかだろうなあ。一応、ただのチンピラの仕業で昨日の話とはなんも関係のない全くの偶然なんて線もあるが……」
「まずないだろうな。焼け焦げた財布の中にボロボロの現金が入っていたそうだし、そもそも昨日のデュエルを見る限り、あの腕前なら大抵の奴は返り討ちに会うのがオチだろう。つまり下手人は、最低でもプロデュエリスト級に腕が立つことになる」
隣に腰を下ろした鼓と共に、つい昨日に一本松本人から聞いた話を思い出す。表のルートに回せない、なおかつデュエルフェスティバルの開始日までにと急ぎで運び込まれた謎の品物。その話を嗅ぎつけたことを察知された、というのは子供でも予想がつく。
「アタシもそう思う。その辺の雑魚が八卦ちゃん以上の腕っぷしと自分のやらかしたことに証拠隠滅するだけの脳味噌付けてみろ、そんなもんいくらアタシでも商売あがったりだ」
「違いないな」
煙を吐き出し、朝焼けに照らされたそれが上に昇って消えていく様をぼんやりと眺める。今度沈黙を破ったのは、鼓の方だった。
「ところで糸巻よ。お前はどう思う?」
「どう、っつーと?」
「昨日の話だ。被害者から聞いた謎の荷物について、私たちが知っている、ということについては漏れていると思うか?」
「それなんだよなあ……」
苦々しげに呟き、またしても煙を吐く糸巻。鼓の質問の意図は、彼女もわかっている。
すなわち一本松一段は情報を漏らしたことへの粛清としてこの襲撃を受けたのか、はたまた情報を掴んだことに対する口封じのために襲われたのか、だ。
実際のところ彼女らにはいまだ『この町に謎の荷物が運び込まれた』という一点しか情報がない。そのうえで今回の敵……そう、「敵」である……は、そのことをどこまで知っているのか?どう判断し、次にどんな手を打ってくるのか?今現在企まれているよからぬことは、その計画が悟られた段階で破棄できるようなものなのか、それとも強行してくるのか。
その全てに答えはない。その苛立ちからか、無意識のうちに糸巻の手にした煙草のケースは握り潰されていた。
「ただどっちにしても、デュエルフェスティバルは中止できないよな。これができればだいぶ楽になるんだが」
「それは私も同感だ。だが、無い物ねだりは見ていて気持ちのいいものではないな」
時期と場所を考えれば、敵の狙いはデュエルフェスティバル一択だと考えるのが自然だろう。もちろん、それすらも隠れ蓑であり本命が別に存在する可能性も捨てきれるものではない……しかし、テロリストの隠れ蓑にしてはあまりにも贅沢すぎるイベントであることも確かだった。今でこそデュエルモンスターズの凋落とともにその名も落ちぶれたデュエルフェスティバルだが、そこは腐っても鯛。「BV」前の世界を知
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ