第一部
才気
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《江神春斗》は体育館の中央に移動。
深呼吸や精神統一をしている。
《立華紫闇》もウォームアップ。
体を温め中央へと踏み出す。
「度肝を抜いてやれ」
《黒鋼焔》は彼とすれ違う時に激励し、《エンド・プロヴィデンス》や《的場聖持》の居る所へ歩いていく。
紫闇の右腕が肘の辺りまで灰色の外殻に覆われ全身が銀色の魔晄防壁に包まれる。
「では見せてもらうぞ」
春斗は直刀を下段に置く。
そして脱力した。
「持国天の構え」
紫闇から感嘆の息が出る。
見事な立ち姿だ。
(ぶちのめしてやりたかったのに思わず見とれちまうとはな。良いね。そうこなくちゃ。でなきゃ俺が憧れるだけの価値が無い……!)
初めて会った時に五人の学生魔術師を瞬殺して見せた頃から薄々感じてはいたが、紫闇は改めて春斗との間に有る絶対的な差に戦慄してしまう。
隙を探す紫闇は春斗を囲むようにゆっくりと周回しながら歩を進める。
が、付け入るような粗は皆無。
(やっぱ駄目か。どうせ背後からの不意討ちも当たらないだろうし。負けるってんなら潔く真っ向勝負と行かせてもらうぜ)
紫闇が間合いに侵入。
刀を執った春斗は悠然に動く。
紙一重で躱し、刀身で受け、位置取りを変えて攻撃が出来ないように立ち回り、紫闇の猛攻を事も無げに、当然の如く凌ぐ。
そんな春斗を見て解らされる。
(一連の体捌きで判るな。やっぱ天才だわ。同じ期間修業してもこうなれる気がしない)
そんなことを考えていた紫闇の耳に春斗の声が危機を報せるように飛び込んできた。
「参る」
速度・鋭さ・タイミング・軌道。
文句無しの一刀。
以前の紫闇なら訳も解らず食らっていた。
しかし今の彼は違う。
スレッスレで避ける。
春斗の顔面にカウンターの右拳が飛ぶ。
対応する春斗は何時の間にか剣を元の位置に構えて次撃を出す体勢を整えていた。
彼は紫闇の反撃を読んでいたのだ。
斬撃が飛ぶ。
が、ここまでは紫闇の想定内。
紫闇は拳を繰り出しながら交差して迫る春斗の攻撃が命中する寸前で[盾梟]を発動。
防壁を膨らませて強化。
これは『堅剛』という技術。
防御で相手の攻撃を受け止めながら、自分の出した攻撃の反動で攻撃を出した部位を痺れさせることで意図的に相手の隙を作り出すもの。
間接的な攻撃には使えないが直接攻撃してくる相手には大体通じるので便利。
(技の性質上、相手の攻撃力と耐久力、麻痺からの
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