暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第8話:再会のパフォーマンス
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、一応居ることは居る。だが繰り返すがその人物は今この場には居ない。

 つまり、このコーヒーはこの場の全員が知らない何者かが淹れたという事であり────

「あ〜、すみませんねぇ。俺、コーヒーとか熱いものはゆっくり冷ましながら飲むのが好きなもんで」

 突如司令室に響く男の声。了子らがその声が聞こえてきた方に目を向けると、そこにはカジュアルなスーツ姿の青年──颯人が扉の近くに佇んでいた。

 颯人の登場に、彼以外の全員が一斉に身構える。

「誰だッ!?」
「友里ちゃん、すぐ弦十郎君に」
「はいっ!」

 朔也たちが颯人を警戒している間に、了子の指示で弦十郎に連絡を取ろうと通信機を手にするあおい。

 だが通信が繋がるよりも早くに、颯人の右手がベルトのバックル──ハンドオーサーに翳された。

〈コネクト、プリーズ〉

 音声が響いた後颯人が右手を上げると、その前に赤い魔法陣が現れる。彼がその魔法陣に手を突っ込むと、あおいの直ぐ近くに同じ魔法陣が出現。

 そこから魔法陣に突っ込まれた颯人の手が飛び出し、あおいが手に取ろうとしていた通信機が持っていかれてしまった。

「なっ!?」
「ごめん、それちょっと勘弁して。気持ちは分かるけど、別にこの場の人達に危害を加えるつもりはさらさらないからさ」

 ね? と笑みを浮かべながら告げる颯人を、朔也達は警戒していた。何の気配も感じさせずに部屋に入った事は勿論、訳も分からぬ能力を見せられて冷静でいることは難しい。

 そんな中で、颯人の事をつぶさに観察していた了子はここで漸く彼の事を思い出した。

「あら、あなた……もしかして、明星 颯人君?」
「え? …………あっ!? そうだ、この顔ッ!?」
「言われてみれば見覚えが……」
「あら、俺って有名人? いや〜、日本じゃまだ無名だった筈なんだけど、なんか照れるなぁ」

 了子の言葉に朔也達は2年前の事件の後監視カメラの映像に映っていた颯人の姿を思い出す。
 あの頃に比べてさらに大人びてはいるが、それでも全体的に大きな変化はないので言われてみればそれが彼であるという事に気付く事が出来た。

 だがだからと言って警戒は緩めない。彼が敵ではないだろうことは2年前に奏を助けたことで分かっているし、また彼が奏にとってどれほど大切な人物であるかと言う事も嫌と言うほど理解している。

 だが彼がこうして不法侵入していることは事実。その彼に対し、何の警戒もしないなどと言う事は出来なかった。

 そんな彼らの心情を理解しているからか、颯人は通信機を返すと徐に両手をパンと合わせた。

「イッツ、ショータイム!」

 そして次の瞬間、合わせた両手を離すとそこから数羽の白い鳩が飛び出した。突然の手品に、面食らう
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