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レーヴァティン
第百三十四話 熊本城攻略その二

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「そして進軍の雨音を消してな」
「目くらましにもなってな」
「それも勝因になった」
「信長さんは雨が降るってわかってたな」
「あの季節の尾張にはな」
「そしてそこで奇襲を仕掛けた」
 今川軍の本陣にだ。
「そうして勝ったな」
「鮮やかな勝ちやったら」
「織田信長公にしては珍しい戦術だったがな」
「奇襲はな」
「大抵は大軍で戦っていた」
 これが信長の戦い方の基本だった、姉川でも長篠でも彼はまず敵の倍かそれ以上の大軍を集めていた。そうして戦いに挑んでいた。
「そうしていたからな」
「あの戦いは珍しいな」
「あの人にとってはな」
「ほんまにな、そしてやな」
「この戦では俺達がだ」
 信長の様にというのだ。
「雨を使う」
「そうして勝つな」
「では仕掛ける」
 こう言ってそうしてだった、英雄は秘かに城攻めの用意もさせた、このことも敵兵達は見ていたが。
 熊本城の堅固さを知っているからそちらには安心していた、備えを万全にして待ち受けんとしていた。それが夜でも。 
 夜襲は読まれている、しかし英雄は言うのだった。
「夜でも奇襲は奇襲でだ」
「雨が降るならね」
「やはり違う、夜襲への備えは当然だ」
 こう奈央に話した。
「それは俺もわかっている」
「既にだね」
「そのうえで仕掛ける」
 夜襲、それをというのだ。
「そしてだ」
「攻めるね」
「今夜な、ただ敵の援軍だが」
 英雄は彼等の動きも見て話した。
「俺達が城攻めにしくじると見ているな」
「熊本城は堅城だからね」
「間違いなくしくじる」
「そこを攻めるつもりだね」
「攻めにしくじって弱っている時にな」
 まさにその時にというのだ。
「仕掛けてだ」
「戦局をひっくり返すつもりだね」
「そのつもりだ、だがな」
「敵のその思惑をね」
「鼻をあかしてやる、やるぞ」
「それじゃあね」
 奈央も自然と笑っていた、そうしてだった。
 英雄は夕刻に兵達にたらふく食わせた、その後で夜に城攻めに入ろうとするが日が落ちて暫く経つと。
 雨が降った、しかも割かし強い。英雄はその雨の中で言った。
「恵みの雨だ」
「私達にとっては」
「そうなる、だからだ」
 この度はというのだ。
「今からな」
「攻めるね」
「そうする、あれを出す」
 英雄は全軍に命じた。
「いいな」
「それじゃあね」
「そして忍達もだ」
 彼等のことも話すのだった。
「用いてだ」
「一緒に攻めるね」
「忍といえどもな」
「熊本城の石垣は越えにくいよ」 
 奈央はこのことを指摘した。
「術を使おうにもね」
「城の石垣に術への結界が仕掛けられている」
「だから舞空の術とかを使おうにも」 
 それで石垣を越えようにもというのだ。
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