第百三十四話 熊本城攻略その一
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第百三十四話 熊本城攻略
英雄は熊本城攻めの用意をさせていった、熊本城の敵兵達も援軍に来た敵兵達も天幕に覆われたその用意をあからさまに怪しんだ。
だがそれでもだ、英雄は言うのだった。
「見られなければいい」
「それでやな」
「そうだ、怪しまれてもな」
こう耕平に話した。
「今はな」
「それでええな」
「怪しまれて何かと思われ」
「対策もやな」
「考えられてもな」
「それが何か」
「見破られなければいい」
それでというのだ。
「そして見破られるとな」
「その対策をやな」
「敵もしてくる、そうすればな」
その時はともだ、英雄は話した。
「また別の手もあるしな」
「それはそれでやな」
「だがそれは奥の手のうちのな」
「まさに奥の手やな」
「だから今は出来る限り使わないが」
それでもと言うのだった。
「怪しまれるうちならいい」
「見られん限りは」
「見られると見破られる」
その時点でというのだ。
「頭のいい奴は敵にもいる」
「そう考えた方がええさかいな」
「だからだ」
「見られんことやな」
「それでいい、何をしているかと怪しまれるならな」
「その時点やと対策もな」
肝心のそれをとだ、耕平も話した。
「立てようがないしな」
「だからいい、とにかくここまでだ」
「見られんで済んだな」
「用意は整った、ではだ」
「今夜やな」
「攻める」
そうすると言うのだった。
「いよいよな」
「そうするな、しかし」
耕平はここで上を見上げた、見れば空は曇り空だった。しかもその雲はかなり分厚くどんよりとしたものだった。
その空を見てだった、耕平は英雄に話した。
「空がな」
「降るな」
「今は大丈夫やけどな」
それでもと言うのだった。
「夜にはな」
「降るな、だがな」
「雨が降ってもか」
「構わない、むしろだ」
「降ってくれた方がか」
「都合がいい、夜で見えなくなり」
そしてというのだ。
「雨で音もだ」
「聞こえん様になるか」
「そうなるからな」
それ故にというのだ。
「雨が降ればな」
「余計に好都合か」
「そうだ、だからだ」
「それでか」
「雨が降るならだ」
それならばというのだ。
「尚更いい」
「桶狭間やな」
ここで耕平はこうも言った。
「まさに」
「あの戦は雨が降ったな」
「雨が降ってだ」
英雄もこの戦いのことは知っている、あまりにも有名な戦いだからだ。
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