暁 〜小説投稿サイト〜
夜に交わる伴装者〜Heros a H eroism〜
約束の結婚前夜(翔ひび)
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…フゥ〜……」
互いに快楽を貪り、息を切らせて見つめ合う。
腰が砕け、へたり込む響に手を伸ばして立ち上がらせると、彼女は翔にもたれ掛かる。
「ありがと……。その……すっごく気持ちよかった……」
「俺の方だって……。……汗だくだな。シャワー、先使っていいぞ」
そう言われると、響は翔の背中に手を回し……耳元で、吐息を吹きかけるように囁いた。
「翔くん……もう一戦、お願い出来る……?」
紅く上気した響の顔。翔だけを映したその瞳にはハートが浮かび、蕩けきった表情はただ我儘に快楽を求める雌の表情だ。
翔の手でこじ開けられてしまった、他の誰も知らない響の一面。
誰かの為ではなく自分の思うままに、ただ最愛の男と二人、愛し愛されていたいという欲張りな彼女。
そして翔自身も、そんな響に求められる事が満更でもない。ショート寸前の思考回路で誘惑する彼女と、もっと繋がりたい……。
求め合う心のままに、二人はバスルームへと向かって行く。
その後暫く、バスルームの中は、肉を打ち付ける音と、激しい水音と……。
そして、戦場で唄う歌姫が幸せそうに乱れる声が、彼女を愛し支え続ける奏者の吐息と共に響いていた。
獣のように互いを貪り尽くし、疲れきった二人は精液と愛液、そして汗でドロドロになった身体を洗い流すと、手を繋いで床に着いた。
毛布の下で抱き合いながら、二人は幸せそうに微笑んだ。
「おやすみ、翔くん」
「おやすみ、響」
とうとう身体を重ね、終生を共にする事を誓い合った二人。
これから先も、多くの苦難が立ち塞がるだろう。
だとしても、繋ぎあった手と手があるからこそ、きっと二人はどんな危機でも乗り越えられる。
翔と響の愛の物語は、これからも続いていく。
「うぅ、寒い……。冷え込んできてるなぁ」
響の父親、立花洸は仕事からの帰路に就いていた。
マフラーを締め直したちょうどその時、ケータイに着信が入る。
「真理?どうしたんだろう……」
相手は妻の立花真理だった。
電話を取ると、洸の顔は徐々に綻んで行った。
「うん……そうか、分かった。……大丈夫だって。じゃあ、今夜は赤飯だな。……うん。楽しみにしてるよ」
電話を切ると、洸は空を見上げる。
「俺もお爺ちゃんか……」
喜びに満ちた独り言を零し、洸は我が家への足を早めるのだった。
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