護るべき怪盗の矜持
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よりいつ来るのかわからない。その間にクルルクなら助けに来てしまうかもしれない。
いきなりドアを開けて強行突破をしようにも二人が相手じゃ分が悪い。わたしはチュニンみたいに力持ちじゃない。
ただ、おしゃべりに集中してるし、わたしが起きてるとは思ってないみたいだから考えて準備をする余裕はある。
だったら、こんなところで……諦めるわけにはいかない。
こっそり抜けることができず、強行突破も難しい。
だったら、方法は一つ。ドアの向こうの二人に一度離れてもらうしかない。
どこかに行かせるのは無理だから……リスクはあるけど、この倉庫の中に入ってもらうしかない。
まず、ドアの側に掃除道具を入れるロッカーを運んだ。中の掃除道具は、邪魔だから出しておく。
次に、色んな道具をしまう組み立て式の棚から一度中身を出して、底に箒を入れて傾ける。ぎりぎり倒れない程度に中身も戻しておいた。
そして……『掃除中』と書かれた立て看板をドミノのように並べて。その先に、傾いた棚が来るように。
これで看板を倒していけば、わたしはロッカーの中に隠れつつ、最後に大きな棚が倒れて、大きな音がするはず。
準備を追えて、ロッカーの側に行く。あとは覚悟を決めるだけ。
「それじゃあ、あなたも隠れていてくれる?」
護神の子は、不安そうな顔をしているけど言うとおりフッと姿を消した。この子にも助けてくれる事情があるんだろうし、その気になればテレポートか何かでわたしを外に出すこともできるはずだけど。信じてくれてる……のかな。
「わっ……」
見えないけれど、わたしの顔に何か柔らかいツノか頭のようなものが擦り寄る。もしかして……これが護神のポケモンとしての本体かな。
「側にいるよ、って教えてくれてるのね。うん、安心した」
ツノらしき部分をそっと撫でる。見えないから変なところに触ってないか不安はあるけど、護神の子は嫌がって離れたりしなかった。
……不思議と不安は消えていた。
まだ怪盗として失敗したわけじゃない。第一予選もクリアしたし、まだ脱出だってできる。
クルルクが教えてくれた。怪盗は決して無敵の存在じゃないと。負けることも捕まることもあるからこそトリックや変装を駆使して立ち回り、獲物を掴み取ってこその存在だって。
だから……ここからは、反撃しよう。クルルクが名付けてくれた怪盗乱麻の名前に恥ずかしくないように抜け出して。
大会に勝って、予告状通り宝も盗む。
そして、サフィールが家族であるキュービさんに会えなくて苦しんでるって言うなら。
わたしが怪盗として、二人の間の壁も盗んでみせる。
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