護るべき怪盗の矜持
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の間にか後ろに小さな女の子がいた。この前フードコートでアイスを一緒に食べた子だ。
ふわふわした茶髪に、何より特徴的な赤と青のオッドアイ。このリゾートの管理者であるキュービさんが子供の頃こうだっただろう、と思えるその姿を、忘れるはずがない。
「……あなたは、やっぱり護神のポケモンなのね」
こくん。ちょっと困った顔で女の子は頷く。サフィールからもしかしたらポケモンじゃないかとは聞いてたけど。ついさっきまでいなかった部屋に突然入ってこれて、『いやしの波動』を使えるなら間違いない。
女の子の体が僅かに光ったかと思うと、わたしの足を縛るロープがするりと解かれた。『サイコキネシス』だろう。
彼女はわたしの右手を取る。……わたしが痛そうにしてたから、心配してくれてるんだ。
その目は、本当の人間と見分けがつかないほどそっくりで。わたしの痛みが直接伝わっているんじゃないかと思うほど悲しそうだった。
「ありがとう。でも平気。わたしは怪盗なんだから、これくらいへっちゃら。脱出だって、自力でできるんだから」
さっきまで涙が出てしまいそうだったのに、この子に見られると強気に笑うことが出来た。……うん、怪盗なんだから、誰かの前では余裕でいなきゃ。
護神の子はまだ不安そうだけど、わたしの言葉を信じてくれたのか、ゆっくりと離れてくれた。
「もし危なくなったら助けてって言うから……ね?」
そんなつもりはないけど。この子は本気で心配してくれてる。それがサフィールのためなのかわたしを思ってかはわからなくても。
怪盗として、この子の気持ちを裏切るわけにはいかない。
「出口は……一つしかないみたい」
薄暗い倉庫。出口はドアが一つだけ。ドアには何も鍵はかかっていなかった。
流石にこのまま出ていけるようにはしていないだろう。……ドアに耳をつけて向こうの音を聞いてみる。
「……センパーイ、本当にあの子が怪盗なんですかあ〜?」
「ルビアさんがただの女の子を縛って捕まえるわけないでしょう?」
「あの人は子供に優しいけど、管理者様は女の子を飼ってるっていうウワサじゃないですか〜?なかなか美少女でしたし」
「滅多なこと言うものではありません。中の子に聞こえたらどうするんです」
「あの毒を受けたならあと二時間はぐっすりでしょう?迎えが来るまで一応見張っててとは言われましたけど、退屈じゃないです〜?」
……女の子を飼ってる? 確かキュービさんは女の子が好きって言ってたからそれが変なウワサになってるのかな。
いや、そんなこと考えてる場合じゃない。問題はどうやってここを出るかだ。モンスタボールも取り戻さないといけない。
隠れてサフィールが来たときにいないふりをしようか……でも、見つかったら終わりだ。何
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