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戦闘携帯のラストリゾート
奪われた■■■■■■
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技を使ったときにチクッとな?塵も積もれば山となる。弱り目に祟り目。世の中健康な人間には何の影響もなくても、体力の少なくなった人間にだけ効くもんもあるからね。いっぱい指示だして、体力も使って。うちのやることに怒って。疲れたやろ?」

 ルビアは近づいて、立ち上がれないわたしの顎を持ち上げる。……なのに、触られている感覚がない。
 至近距離で見る彼女の目は、わたしの傷ついた腕に向けられている。バトル中に笑っていたときとは全然違う。後悔と憐れみに満ちていた。それでも紡ぐ言葉は淡々としていて。

「あれだけ頑張ったら、線の細い子は体の感覚さえなくなると思うよ? まあ毒というより麻酔みたいなもんや。体に後遺症は残らんから安心してな?」

 バトルが始まったときははっきり感じていたシルヴァディの噛み跡の痛みをいつの間にか感じなくなっていた。それはバトルに集中していたからじゃなくて……ルビアの毒のせい?
 ルビアが少しわたしを押す。全然体に力が入らなくて、座っていられずにぐらりと仰向けに倒れてしまった。

「わたし……負けた、の?」

 みんなの力を借りてバトルに勝ったのに、何もできない。悔しくて悔しくて、涙が溢れるのが止まらなかった。それを拭おうにも、指は動いても腕が動かせない。

「ううん……お嬢ちゃんは間違いなくうちに勝ったよ? うちの予想ではバトルの最中にお嬢ちゃんが麻痺して動けなくなってはいうちの勝ちーって算段やったからなあ。そのためにウツロイドで時間稼ぎもしたんやし、疲れさせるためにわざと大切な仲間を奪った。負けるのも仕事のうち、とは言うたけど負けてしもうたときは内心焦ったし」

 チュニンも昨日褒めとったけど怪盗ってすごいんやねえ、と。いけしゃあしゃあと動けないわたしの頭を撫でる。優しく優しく、今にも眠りそうな幼子をあやすように。
 こんな手、今すぐ払い除けて堂々と怪盗として逃げたかった。なのに体は動いてくれなくて、声が震える。

「サフィールに、わたしを……殺させるの?」
「まさか、お嬢ちゃんの体に傷一つ残さへんよ。うちの事はいくら恨んでくれても構わへんけど、サフィールのことは信じたってくれるか? あの坊は、何も悪くないんや」

 自信があるのか、ピシャリと言い切った。

「ただサフィールが願いを叶えるまでの間……堪忍やけど大人しくしとってな。うちはそっちの管理者さんと話もせなあかんし」
【……いいでしょう】
「ス、ズ……わたし……」
【大丈夫です。スズとキュービには怪盗をここに招いた責任があります。あなたを死なせはしません。助けを、待っていてください】

 早口で、まるで機械のように遊びのない声だった。それはもう、わたしが自力でここから逃げられないと判断しているということ。
 ルビアが呼びつけた
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