第六十七話 元康初陣その十三
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「だからこそな」
「これからはですか」
「駿河や遠江の様にしていこうぞ」
「豊かな国に」
「殿もその様にお考えであられるしな」
義元、彼もというのだ。
「そうしていくぞ」
「わかり申した」
「しかし豆はよい」
三河で作らせているこれはとだ、雪斎は笑って話した。
「食して美味であるしな」
「豆から色々なものが作られますし」
「味噌にしろ醤油にしろ納豆にしろな」
「あときな粉もそうですし」
「豆腐もであるな」
「あれは馳走ですな」
「とかく色々作られる」
豆からというのだ。
「だからな」
「これからもですな」
「豆はな」
これはというのだ。
「作っていく」
「そしてですな」
「三河にな」
「今川家自体も」
「豊かにしていこうぞ」
「さすれば」
「無論民達もじゃ」
彼等もというのだ。
「豆をな」
「食させますな」
「そうじゃ、実は豆は医術でもな」
「よいですな」
「豆腐は古くから良薬の様に言われておった」
豆から作るこれはというのだ。
「それこそ仙人が食する様な」
「そういえば淮南子の」
元康はここでこの書を出した。
「あの書を表した劉安が」
「不老不死の薬を作ろうとしてな」
「その途中で、ですな」
「生まれたものであるな」
「はい」
まさにとだ、元康は答えた。
「左様でした」
「そこからもわかるな」
「はい、豆は非常に身体によい」
「美味く色々なものを作ることが出来てな」
「だからですな」
「それでじゃ」
その為にというのだ。
「豆は作らせていくぞ」
「三河において」
「米とともにな」
「それでは」
元康も頷いた、二人は戦の後で政の話もした。だが今川家はここでその戦のことが大きくなるのだった。
第六十七話 完
2019・9・23
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