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戦国異伝供書
第六十七話 元康初陣その九
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「これからあの御仁を見て調べていくか」
「それがしの忍と」
「拙僧の僧でな、では戦は終わった故」
 それでとだ、雪斎は元康にあらためて述べた。
「殿のおられる本陣に戻ろう」
「わかり申した」
 元康も頷いてだ、そうしてだった。
 二人はそれぞれの軍勢を率いて義元の率いる本軍と合流した、そうして義元に津々木のことを話すとだった。
 義元は首を傾げさせつつも二人に話した。
「怪しい者、まだ麿はわからぬでおじゃるが」
「それでもですか」
「あの御仁のことは」
「お主達に任せるでおじゃる」
 こう雪斎と元康に話すのだった。
「そうするでおじゃる」
「それでは」
「尾張の方に人をやります」
「頼んだでおじゃる、では三河の守りは固め」
 そしてと言うのだった。
「駿河に戻るでおじゃる」
「わかり申した」
 二人は義元の言葉に頷きそれぞれ力を合わせ津々木という者について調べた、だがそれでもだった。
 暫く調べていると信長が動いてだった。
「斬ろうとして逃げられたと」
「そう言われておるな」
 雪斎は元康と茶室で茶を飲みつつ話した。
「どうも」
「はい、そして勘十郎殿は責を取り頭を丸め暫く蟄居されるとか」
「これで織田家の内輪揉めは起こる前に終わったが」
 それでもというのだ。
「結局釣?期殿のことはな」
「わかりませんでしたな」
「怪しい御仁であったが」
「何もかもわかりませんでした」
「しかし弾正殿もわかっておられたのじゃな」
 信長もとだ、雪斎は元康に茶を出しつつ話した。
「あの御仁のことは」
「怪しいと」
「勘十郎殿を惑わしておるとな、そして」
「斬ろうとされた」
「それが結局勘十郎殿を助けたが」
「このことはですな」
「織田家にとってよかったであろう、あの御仁も資質がある」
 優れた者だからだというのだ。
「それ故にな」
「弾正殿はかけがえのない方を失わずに済んだ」
「今は蟄居されておるが」
 それでもというのだ。
「やがてはな」
「許されてですな」
「戻られる」 
 織田家にというのだ。
「そうなる」
「左様ですな」
「平手殿もおられるし」
 彼もというのだ。
「織田家はいざという時に後ろを抑えられる御仁もおる」
「そう思いますと」
「やはり強い、だがその織田家と」
 雪斎はここで一呼吸置いた、そのうえで元康に話した。見れば今は二人は茶室の中にいるが茶を飲んでいない。そのうえでの話だった。
「殿はいよいよな」
「上洛を目指され」
「戦を決意される」
「さすれば」
「この度は前哨戦でもないが」
 それでもというのだ。
「再び織田家と戦うことになる、そしてな」
「今度はですな」
「弾正殿との戦になる」
 信長、彼とのというのだ。

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