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ドリトル先生の林檎園
第六幕その四

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「長野県ではね」
「そうした経緯があったんだよ」
「ううん、いい理由じゃないね」
「確かにそうだけれど」
 それでもというのです。
「今じゃこうしてね」
「名物になってるんだ」
「そして僕達もだね」
「食べているんだ」
「そういうことだね、じゃあ僕達は今は」
「どんどん食べていこう」
「それじゃあね」
「そしてね」
 お蕎麦を食べてというのです。
「お蕎麦の後は」
「林檎だね」
「長野県の林檎は神戸でも普通に売ってるけれど」
「折角長野県に来たから」
「食べてみたいしね」
「僕もそうしたよ、そしてね」
「実際にだね」
「美味しかったよ」
 その長野県の林檎はというのです。
「だから王子もね」
「食べればいいね」
「美味しいものは皆で食べる」
「そうすればいいね」
「そうだよ、じゃあね」
「今からね」
「食べよう」
「そうしよう」
 こうしたことをお話してでした、そのうえで。
 王子は今はお蕎麦を皆と一緒に食べました、せいろもざるも食べてそれから鴨なんばから天婦羅そばを食べましたが。
 その天婦羅そばについて王子はまた言いました。
「昔は海老なんてね」
「それはね」
 先生も王子の言いたいことを察して応えました。
「長野ではね」
「食べられなかったね」
「長野県は山国だからね」
「海がないから」
「食べられるかっていうと」
 それはというのです。
「やっぱりね」
「無理だったね」
「そうだったよ、けれどね」
「今はだね」
「そう、長野県でもね」
 今の様にというのです。
「食べられるよ」
「そうなったね」
「そうなったからには」
 それならというのです、先生は。
「楽しんで食べればいいよ」
「そういうことだよね」
「皆でね」
「それじゃあね」
「それとね」
 さらに言う先生でした。
「この天婦羅そばを食べると」
「ああ、愛媛だね」
「あの時を思い出したね」
「そうだったよね」
「あのお蕎麦も美味しかったね」
「坊ちゃんが食べたあのお蕎麦もね」
「思い出して」
「嬉しい気持ちになったよ」
 そうなったというのです。
「何かね」
「そうだね、それとね」
「それと?」
「もう一つあるんだ」
 それは何かといいますと。
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