第91話 烏桓族諜略 後編
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は不公平な商売をしに来たのではない。市価で購入するつもりだ。稟、ここに五朱銭を10万銭、歩兵達に運ばせろ」
「はっ!」
稟は私の命令を聞くと、足早に巣厳の家を去っていきました。
「あ、あの・・・・・・、劉車騎将軍・・・・・・」
巣厳は私の言葉が理解できないという表情をしていました。
「巣厳、駿馬50頭分の代金を持ってこさせるので少し待て」
私は巣厳に優しく言いました。
1刻程後、駿馬50頭分の代金を巣厳の家の前に持ってこさせました。
私達と巣厳は彼の家を出て、詰まれた五朱銭で一杯の箱の前に来ました。
村民達も周囲から、こちらを伺っています。
「劉車騎将軍、これは・・・・・・」
巣厳は不安気な表情で聞いてきました。
「駿馬50頭分の代金だ。巣厳、私はお前達と交易をしに来たと言っただろう。お前達は漢の民だ。ならば、お前達に対し理不尽な差別をするのは道理に反する。私の叔父、劉寵は太守として、会稽郡に赴任した際、漢民族と山越族を差別なされなかった。私もその姿勢は正しいと思っている。故に、お前達の取引は適正な価格で行う。この金はお前達の物であり、もし、お前達から理不尽な理由で金を搾取する者があらば、この私に申し出よ」
私の言葉に巣厳は涙を流していました。
「劉車騎将軍、あなた様のお気持ちは有り難いのですが、今の私達には3頭の駿馬のみしかお売りすることはございません」
「ならば、その3頭のみで構わない。残りの47頭の駿馬を納入するまで、10年の猶予を与える。その金は前払いにしておくので、必ず残りの駿馬を納めよ。良いな」
私は巣厳を見て厳しい表情で言いました。
「はは! この巣厳、必ず、あなた様に駿馬50頭をお納めいたします」
巣厳は感涙しながら、深々と平伏をしました。
巣厳につられるように村民達も私に平伏をしました。
「巣厳、そんなに畏まらなくてもいい。お前は代郡の烏桓族を束ねる大人なのだぞ」
「いえ、劉車騎将軍にそのような真似はできません。劉車騎将軍のように私達を差別なく扱って下さった方はございません」
巣厳は更に深く平伏をしました。
「巣厳、私はお前達と交易を行いたくて来たのだ。返事を聞かせてくれないか?」
「交易の話はお引き受けしたいのは山々ですが、一つだけお聞かせ願えませんか?」
巣厳は顔を上げ真剣な表情で私に聞いてきました。
「何でも聞いてくれ」
「私達と交易をする対価として、劉車騎将軍は何をお望みなのでしょう」
巣厳は不安と期待がない交ぜになった表情で私を見ていました。
「対価か・・・・・・。私にとって、烏桓族との交易を行うことが目的の9割、後の1割は烏桓族との交易にとっ
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