【螺旋の彼方へ】
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「──さん、……ネジ兄さん?」
「──?え、あ……何でしょうか、ヒナタ様」
「その……どうかしたんですか? 何だか、さっきから上の空みたいで」
「そう、でしたか。すみません」
「い、いえ、謝ることなんて……」
ネジとヒナタは日向家で修業の休憩時、縁側で共にお茶を飲んでいた。
「ヒナタ様は……、あの旅芸人の少年をどう思いますか」
「え? 旅芸人の、少年……?」
「前の共同任務の際にナルトが連れ立っていた、ナルトに似た少年というか……」
「えっと、そんな人……いましたか?」
「覚えて……いないのですか?」
「ご、ごめんなさい……思い、出せないです。ナルトくんに、似た人なんて……」
嘘をついている様子もなく、困った表情をしているヒナタ。
「──俺の、見間違いだったかもしれません。今のは忘れて下さい」
「え、でも、ネジ兄さんが見間違えるなんて……」
「お茶を淹れて下さって、ありがとうございました。……今日は、これで失礼します」
「あ、ネジ兄さん……!」
ネジは何か思い立ったように日向本家を足早に後にし、ヒナタはそれを見送るしか出来なかった。
(見間違いな……はずはない。俺は確かに、あいつと───)
歩きながらそう考えている間にも、旅芸人の少年がどんな容姿だったか思い出せなくなってくる。
(旅芸人……、そもそも旅芸人だったのか、その少年は。少年……、誰の、事だ?)
人気のない道端で、ネジは顰め面のままふと歩みを止める。
(忘れては、いけないような……いや、忘れるべきなのか。だが───)
ネジは思わず白眼を発動し、薄れゆく面影を追った。……その存在は、背の高いもう一人の存在と里の外れの森にいるようだった。向かい合わせで、ナルトとその師匠の自来也も居る事が分かる。
──脚は既にその場に向かって駆け出していた。
「お? ネジじゃねーか、お前もボルトと旅芸人のおっちゃん見送りに来たのか?」
ナルトが真っ先にネジに声を掛けて“その名”を口にし、ボルト本人は複雑な表情をする。
「……! ネジ、さん」
「ボルト……、ボルト、というのか……お前の名は」
「そう、だよ。オレは……ボルト、っていうんだ」
「ボルト……、そうか。悪くない名だ」
「そりゃ、そうだよ。だって、オレの名は──」
「……そこまでにしておけ」
師匠のサスケに言葉で遮られるボルト。
「何だってばよ、ネジに名前教えてなかったのかボルト?」
「……すまんのう、わしらはこやつらを覚えておくわけにはいかんのだ。お主なら……わしらの記憶を消す事くらい出来るのだろう?」
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