遊花区のシャトレーヌ
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サフィールはキュービの本当の姉弟なんよ。……血縁があるってことや」
「でも、それにしてはサフィールはよそよそしかったけど」
キュービさんはシャトレーヌをとても大切に思っているのは伝わってきた。だけど、サフィールがキュービさんについて話す態度は、チュニンと険悪に話していたときと違ってほとんど他人みたいな言い方だった気がする。
「うちも当時のことは知らんけど……昔、キュービはまだ赤ん坊のサフィールを連れてこのリゾートに来たんやと。キュービ自身、まだ嬢ちゃんと同じくらいの背格好やったみたいやな」
【サフィール君は16歳なので、およそ15年前ということですね。当時のキュービがラディと同い年とすると……】
「スズ、今は真面目な話をしてるの。黙ってて」
それは言わぬが花やねえ、とルビアは笑う。
「……親は?」
「おらへんかったよ。それどころかキュービも昔のことをなーんも覚えとらん。自分が抱きしめとる赤子が誰なんかもわからん。まあDNA鑑定で血縁やとはわかったみたいやけど……問題はそこじゃないねんな」
……さらっと大事を暴露されたけど、キュービの許可はとってあるのかな。わたしならあまり言いふらされたくない。
「サフィールが物心ついたあたりで、キュービはサフィールを遠ざけ始めた。できるだけ顔を合わせんように、養護施設に入れてな。そういうわけで、サフィールはキュービのことよく知らんねん。何故か自分に会ってくれない実のお姉さんやな」
そのくせうちらシャトレーヌのことは姉妹とか言って大事にしよる。サフィールにとっては面白くないやろ? そうルビアは告げた。
……正直まだ頭が追いついていない。複雑な事情があるのはわかる。
「サフィールは頑張ってキュービに会おうとした。カードゲームの腕を磨いて優勝したり、このリゾートでバトルしたり。自分がキュービの本当の家族なんやと自己主張した」
「……なんで、キュービさんは会ってあげないの? 本当の家族なんでしょ?」
「さあ? うちも気になるけど教えてくれへんし。つれないわあ」
で、気になるのはチュニンがあないなことする理由やったっけ? と話を戻す。
「チュニンはキュービのことを本気で信用しとる、理由までは言えへんけど……あの子なりに姉として本気で慕っとるんよ。せやのにサフィールは自分が本当の家族でシャトレーヌなんかより自分を見てほしいとせがむ。チュニンが何回追い返してひどくあたってもここに来るのをやめん。だから昔っから仲悪いみたいなんよ」
「そんなの……チュニンの我儘じゃない。結局本当の家族はサフィールなんでしょ」
「かもね? でもキュービは実際会おうとせんから都合がええんやろね」
うちにとってはからかいがいのある坊やってところやねー。と話を締めた。
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