第5話『発見』
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味合いの文がある」
「4名未満……あっ」
「気付いたみたいだな」
現在、写真部の部員数は二年生が3人、一年生が1人の合計4人だ。 今のところは問題ないが、来年には二年生の先輩は三年生になり引退してしまう。 つまり新入部員数が0の場合、来年には部員数不足により休部、最悪廃部になってしまうということか。
「だから今年は学祭とかで宣伝して部員募集しなきゃいけないってことだ」
「うぅ……責任重大ですね……」
部室にあるアルバムを見ればわかるのだが、写真部は聖晶学園設立後初めて発足した部活動の一つらしい。 一応歴史ある部という認識は先輩にもあるようで、なんとか廃部だけは避けようと考えているようだ。
「この合宿も、輝橋なりに写真部のことを考えた結果だろうな……っと」
「わぁ……」
そうこう話している間に目的地へと辿り着く。 虎徹山の中腹あたりに設けられた展望台からは、真夏らしい青々とした木々がやや色づいた日差しに照らされる光景が広がっていた。
「綺麗ですね……」
「あぁ、そうだな。 さて……」
展望台に有料の双眼鏡が設置されているのを見た先輩は、硬貨を握ってそちらの方に歩いていってしまった。 私の方もとりあえずデジカメの電源を入れ、ぐるりと見回してみることにしよう。
お母さんに無理を言って買ってもらったこのデジカメにも、それなりの数の写真が収められてきたと思う。 それでも、具体的に何処がなのかはわからないけど、部室のアルバムにある歴代の先輩方の写真と比べると“何か”が足りない気がする。 この合宿でその“何か”を少しでも掴むことができればいいなと思っていた。
……うん。 本来の目的はそっちだ。 出来るだけ余計なことは考えないようにしよう。
とは言ったものの、どうしたものか。 アドバイスを貰おうにも、うちの部活は顧問を含めて本格的な写真の知識がある人がいない。
結局のところ、とりあえずがむしゃらに撮ってみるしかないのかなと思うと思わずため息が出る。
すると、先輩が奇妙な声をあげた。
「ん?」
「どうかしましたか?」
「……やっぱり、何か……」
双眼鏡から見える景色に集中しているのか、問いかけにも反応しない。 何かを探すように暫く双眼鏡を動かした後、先輩は俄に展望台の柵を乗り越え出した。
「先輩!?」
「悪い、ちょっと森の中見てくる。 立奈は先に戻っててくれ」
そう言うが早いか先輩の姿が視界から消える。 そこそこの高さがあった気がするが大丈夫なのかと覗き込んでみると、上手く受け身をとったのかどこか痛めた様子もなく走り出す先輩の姿が確認できた。
「えぇ……」
置き去りにされた私は、間の抜けた声を出してしまう。
……帰ろう。 もうすぐ薄暗くなって
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