第5話『発見』
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「……」
「……」
……気まずい。
羽音さんに半ば乗せられるような形で先輩に同行したはいいものの、2人の間に漂う奇妙な沈黙に押しつぶされそうになってきた。 いずもを出て最初の方こそ軽い雑談をしていたけど、しばらくすると話題が尽き、口数が少なくなってしまう。
何か話さなければ、と思ってみてもちょうどいい話の種が思いつかない。
「……今からでも戻っていいんだぞ?」
「い、いえ、大丈夫です」
完全に気を使われしまっている。嫌々ついてきている訳ではないのは本当のことだ。 ただし、私の場合は先輩と違い景色の確認がしたいからついてきたという訳ではない。
『ついていけばレイトと2人きりになれるよ』
羽音さんにそう言われたことで、反射的についていくと決めてしまっていた。 我ながら単純な頭をしていると思う。
とにかく、せっかくの機会なのだからなんとかして先輩との距離を縮めなければ。 そこでふと、先程輝橋先輩の言っていた言葉を思い出す。
「そういえば、学園祭でも展示会やるんですね」
「ん? あぁ、立奈にはまだ説明してなかったな。 聖晶の学園祭は全部活動強制参加なんだ」
「そうなんですか……確かに去年見学に行ったときは模擬店が沢山ありましたね」
「そっちは運動部の連中だな、サッカー部とか野球部とか。 天野たちも去年はホットドッグを売ったって言ってた」
「あれ、去年写真部の展示なかったような……?」
「見ての通りの人手不足だからな。 隅の方で目立たないようにしていた」
「もったいない……」
茶化すように肩すくめてみせる先輩の態度に思わず大きなため息を漏らす。 入部したてでカメラ初心者の私はともかく、先輩たちは綺麗な写真が撮れるのだからもっと多くの人に見てもらいたい。
しかし、理由が人手不足というのなら今年も同じ。 いや、聞いた話では引退して卒業した先輩が3人なのに対して入部したのは私1人だから去年より深刻になっている。
「なら……今年も隅っこですかね……」
「いや? 今年はもうちょい頑張ってみる予定だ」
「そうなんですか?」
これは少し意外だ。 一体どういう風の吹きまわしだろう。 そのことを質問すると呆れたような顔をされる。
「なんでって……立奈、お前の為でもあるんだぞ?」
「私のため?」
「お前……生徒手帳読んでないのか?」
むしろ読んでる生徒の方が少ないと思う。 私も入学式で配られた時に軽く目を通しただけで何が書いてあったかなんて全く覚えていない。
「……まぁ細かい部分は省くが、部活動に関する規定も書いてあるんだ。 自分に関係する部分は最低限読んでおけ」
「はぁ……」
「そしてその規定の中に『部員数4名未満の部活は休部、あるいは廃部とする』って感じの意
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