第7章:神界大戦
第227話「立ち上がる」
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現に近い事は出来ますが……〉
「それで実現できるとは限らない……か」
実際にその場にいるのと、想像で補うのとでは決定的な差がある。
ましてや、緋雪には司のような天巫女の力や、優輝のような“導く”力がない。
その点もあって同じ事を実現するのは難しいと思った。
「……やっぱり、司さんの力を皆に行き渡るようにするのが得策かな?」
〈ですが、それでは司様が倒されるとその時点で敗北が決定します〉
「向こう側もそれを見抜くだろうしね……でも……」
どの道、“格”を昇華する、もしくは理力を習得するにしても、次に戦う者全員が習得できるとは限らない。
その点を見ても、司の力を全員に行き渡らせるのは必須だろう。
「……やっぱり、何人かは自力で辿り着かないと厳しい」
〈一人が狙われるのと、数人が狙われるのとでは、大違いですからね〉
だが、考えても具体的な方法は見つからない。
当然と言えば当然だ。具体的な方法は存在しないのだから。
「悩ましい……本当に、悩ましいな。“道”が見えないよ、お兄ちゃん。いつも私は誰かに手を引かれていた。……自分で道を拓くのって、こんなに難しいんだね」
考えれば考える程、成功に繋げられなくなる。
理屈も理論も存在しない方法など、考える事自体が間違いなのだ。
それを自覚しても、緋雪は考えてしまう。“道”を見失ってしまう。
〈……一つ、興味深い発言が残っています〉
「興味深い発言?」
〈マイスターが理力を習得した際、仰っていました〉
―――「“基本的に、理力を扱えるのは神界の存在のみ”」
―――「……まるで、以前にも神界の存在でなくとも理力を
扱った者がいたかのような言い分じゃないか」
「それって……!?」
確かに言っていたと、緋雪は思い出す。
「……方法があるのは、確かなんだね」
〈だと思われます」
前例が他にもあった。それだけでも心の支えになる。
そして、それが切っ掛けなのかはわからないが、緋雪は考えを切り替えた。
「……そうだ。方法を見つけられないのなら、“道”がないのなら、決定的な差が、“壁”があるのなら……“破壊”してみせる……!」
〈お嬢様?〉
切り替えたおかげか、緋雪は何かが吹っ切れたように掌に破壊の瞳を出した。
理論を、理屈を並べてしまうのなら、“それ”を壊せばいいのだと。
「理屈なんて、過程なんて、いらない!……その工程を“破壊”する!」
―――“破綻せよ、理よ”
「っ……!?」
微かに
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