第7章:神界大戦
第227話「立ち上がる」
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そもそも、盲点だった部分だ。
技を繰り出すための工程を区分けしなければ、気づけなかった。
「(祈ると同時に力も注ぐ。これができれば……!)」
言葉にするのは簡単だったが、実現するには厳しい。
左右の手で別々の事をするのとは、訳が違う。
「っ……ダメ……!」
司が本来行う魔法は、言わば型を作ってそこに中身を流し込み完成させるものだ。
それを、司は型を作りながら中身を流し込むという行動に出ている。
中身が零れれば型も崩れる……つまり、術式が瓦解してしまう。
まさに神業のような制御が必要だった。
「(このままじゃあ、ダメ。実戦でも使えるようにしないと……!)」
それでも、方法がなかった先程までよりは断然マシだ。
地道に、着実に、司は魔法の制御を完璧に仕上げていく。
「(……今度こそ、今度こそ、勝つんだ……!)」
全ては、好きになった親友を助けるために。
「はぁ……はぁ……ふっ……!」
何十分、何時間と経ったのだろうか?
司はずっと祈りの最適化を続けていた。
「(まだ……まだ足りない……!)」
最初に比べれば、かなり早くはなった。
だが、それでも勝てなかったあの神に比べれば、遅すぎる。
「ふぅ……はぁっ―――!」
もう一度、魔力弾として祈りを放つ。
「ッ……!?」
その時、“ドパン”と魔力弾が弾け飛ぶ。
否、今のは術式が瓦解したために魔力が制御できなくなっただけだ。
しかし、司は制御を怠ってはいなかった。
「……緋雪ちゃん?」
「皆食堂とかに来たり、休憩してるのに……何やってるの?」
ならば、今のは集中力を乱された。
その原因である緋雪に、司は目を向ける。
「今……何をしたの?」
緋雪がここに来たのは、ずっと特訓を続ける司を見かねてだ。
アースラに戻ってきた緋雪は、体の調子を確かめようと考えていた。
そこに、特訓をしている司が目に入ったのだ。
「……物理的の戦力強化は頭打ちだと思って、小手先の技を使わせてもらっただけだよ」
「集中が一瞬で途切れた……小手先なんかじゃないよ!」
緋雪がここにいる事、時間がかなり経っていた事。
それらは司にとって大して重要ではなかった。
それよりも、今集中を乱した方法が気になっていた。
「……破壊の瞳で、司さんの集中力を“破壊”したの」
「集中力の……破壊?」
物理的なものではなく、形のない抽象的なもの。
それを、緋雪は破壊の瞳を握りつぶして破壊したのだ。
「物理的な破壊は強力だよ。でも、神界の神相手では大して意味がない。だったら、形のない
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