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戦闘携帯のラストリゾート
親しき仲にも礼儀なし
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た頃。
入り口が開き、見覚えのあるサーナイトが出てきたと思うと案の定続いて出てきたのはサフィールだった。
 変装してるからわたしに気づくことはないとはいえ、シャトレーヌのこと姉さん達と呼んでいたから。チュニンに話しかけるかもしれない。
 チュニンの様子を伺うと、わたしの方を見て笑顔でそっと唇に人差し指を立てた。
 そして、サフィールに声をかける。

「なーんだ、誰かと思えば泣き虫サフィじゃないですか」
「……!」
 
 変装していなければ、声を出してしまっていたと思う。快活に笑っていたチュニンがまるで別人になったみたいに。それも、わたしやクルルクが変装を解くのとは全く違う──例えるなら、映画の中で仲間だったはずの人にいきなり背中から氷のナイフで刺されたみたいにゾッとした。それくらい、悪意に満ちた挨拶だった。
 気づいたサフィールは、バツが悪そうに俯く。
 
「……悪いけど、今はチュニン姉さんに構ってる暇はないんだ。知ってるよね、僕が怪盗を捕まえるつもりだってこと」
「本気で出来ると思ってるんですか? 泣き虫のくせに?」

 その挑発に、サフィールは顔を上げてチュニンを睨みつけた。

「うるさいよ! あんなポケモンカードの事何一つ知らない女の子、いつだって勝てる、捕まえるための方法だってもう決めてある!」 

 何か言おうとしたわたしの口が、パクパクと開くだけで何も言えない。うるさいけど明るかったチュニンも、ひょうきんだけど優しく手を引いてくれたサフィールも、ただの幻覚だったんじゃないかと思ってしまうくらい豹変していて、何より真剣だった。
 
「へえ、それなら──すこしテストしてあげましょうか」
「っ、リフレクター!」
 
 チュニンがでんこうせっかの速さでサフィールとの距離を詰める。サーナイトの目が光って二人の間に文字通り壁を作った。いくらチュニンがすごい身体能力を持っていても、ポケモンの技を打ち破ることなんて出来ないはず。
 彼女の足が止まり、そっと壁に手を添える。
  
「へえ、咄嗟に指示が出せるようになりましたか。チュニンに『サイコキネシス』は無駄ですからいい判断ですね。バトルに負けて泣きながらサーナイトに手を引かれてた時よりは成長しましたか」
「いい加減しつこいよ。サイコキネシスが効かないなんて姉さんが凄いんじゃなくてただリゾートのシステムでそうなってるだけじゃないか」
  
  チュニンが止まったことにサフィールが大きく息をつく。
  
「甘い甘い、ちょっとポケモンカードが強いだけの子に『管理者』の後ろ盾がある子をどうこうできるなんて自信過剰にも程があります……よっと!」

チュニンの拳がどう動いたのか、わたしには見えなかった。ただ、お寺の鐘をついてそのままたたき壊したような轟音が
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