本編
本編6
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ウエイトレスの手からハンカチを受け取ると、お礼を言ってぺこりと頭を下げた。彼も私に向かって軽く一礼してくれる。
「ああ、お待ちください。もうひとつ」
踵を返して席に戻ろうとすると、またもや呼び止められてしまった。ウエイトレスは、今度は私の進行方向に立ち塞がるように立って、少し顔を寄せてくる。
「??マッジクショーのお手伝いをしていただきたいのですが」
「……!」
小さめの声で紡がれた言葉に、私はハッとして彼の顔を見た。ニヤリと笑みを浮かべた彼の顔は、一週間前に見たものと同じだ。
「あ、あなた、か……っ」
「しっ……このことは二人だけの秘密に。ね?」
彼は人差し指を口元に当てると、軽くウインクをして見せた。
秘密という言葉に、なんだかワクワクする自分がいる。どんなことが始まるんだろう。ここでバレたら台無しになる。
「……っごめんなさい。わかった、秘密にする」
言葉を飲み込んで頷くと、彼はニコリと微笑んだ。制服のポケットから黒いサングラスを取り出して、私に手渡す。
「電気が消えたら、このサングラスをかけて廊下に出てください。話し上手なお見合い相手に気づかれないように」
「ふふ、わかった。その通りにします」
いたずらっぽく笑う彼に、私も思わず笑ってしまう。どうしてサングラスなのかはわからないけど、私は言われるままに頷いて、手渡されたサングラスをバッグにしまった。
私は内心ドキドキしながら、平静を装って席に戻る。それからの諏訪さんの話は、これから起こるマジックショーにワクワクしている私の頭には、あまり入ってこなかった。申し訳ないけど、集中して聞けるような状態ではなくなってしまっていた。
だけど、入ってこない話を聞いている時間は、そう長くはなかった。私が席に戻ってから数分後、なんの前触れもなく、お店の電気は全て消えてしまった。
「うえっ!? なんだ! 停電か!?」
目の前にいた諏訪さんを始め、その場にいたお客さんたちが騒然となる中、私はバッグからそっとサングラスを取り出した。かけてみると、今まで見えなかった周りの景色が、鮮明に見えるようになる。なんだか暗視カメラの映像を見ている気分だ。
サングラスは、これのためだったのね……。たしかに、そのまま歩いたら、私は廊下に出られなかったかもしれない。私の席から扉まではある程度の距離があるし、暗闇に慣れていない目で歩くには危険だ。それこそ、誰かにぶつかってしまっていただろう。怪盗キッドの用意の周到さに感心しながら、私は静かに席を立った。
でもこのサングラス、どういう仕組みになってるんだろう……。好奇心が抑えられないので、あとで聞いてみることにしよう。そんな時間があればの話だけど。
そんなことを考
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