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曇天に哭く修羅
第一部
空気を読め
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だし。あと天然で上から目線みたいな顔が気に食わない」

「気に食わないならどうするのかな?」


焔は実に楽しそうな顔で喜色を浮かべながら長い黒髪に付いた鈴飾りを鳴らす。

クリスはその碧眼に憤怒と闘争心の炎を宿して焔を指差しながら高らかに宣言した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「あんたはこの私がブッ壊してあげることにしたわッ! 直々にね! そうするだけの価値が有ると判断したっ! 勘だけど!」


エンド、聖持、春斗は頭を抱える。

この女は頭痛の種だと。


「邪魔すんじゃないわよハルトッ!? 前にも言ったけど私の歩みを止めて良いのは私だけなんだから! あんたも他の連中も、このクリス・ネバーエンドが突き進む様を指(くわ)えて見てりゃ良いのよッ!」


(いや、邪魔はお前だろう)


春斗は思わずクリスにそう言ってやりたかったのだがこの女のことだ。

何を言っても聞く耳を持たない。

彼女が相手では時間の無駄。

彼は思考を切り替えて焔と紫闇がどういう反応をするのか眺めることにした。


「面白い娘だね君。私と()りたいなんて。別に構わないよ。体育館へ行こう。今なら一年用の実戦スペースが貸し切り状態だろうし、あの広い空間を思う存分使うことが出来る」


紫闇は二人の対戦が気になるらしい。


(修業の中で散々体感させられてきた焔の攻防力にクリスの手数と武器の火力が一体何処まで通用するやら。俺が焔と戦う際の参考になれば有り難いんだけどなぁ)


春斗は約60年前の【邪神大戦】において自身の祖父に勝った《黒鋼弥以覇(くろがねやいば)》の孫が、不敗神話を受け継ぐ者がどれだけの力を持った存在か、その片鱗だけでも垣間見ておきたかった。

目前に立つ黒鋼の少女を超越できれば自身の夢へと大幅に近付けるだろうから。

彼女の先に居る聖持とエンド、そして【白銀の真人】こと《永遠(とわ)レイア》

彼等を意識して。

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