第一部
空気を読め
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《立華紫闇/たちばなしあん》
《的場聖持/まとばせいじ》
《黒鋼焔/くろがねほむら》
三人が【龍帝学園】の門から一歩踏み出して帰宅の途に着こうとした時、彼等の後方から声が掛かる。
「おーい」
「待て」
対照的な声音だ。
一つは友達へ声を掛けるように軽くて親しみの有る感じだが、もう片方は硬い態度で厳しい、何処か鋭さを持ったような刺を含んだ言い方。
紫闇達が振り向くと三人の生徒。
龍帝の一年生で現在の学年序列一位である金髪少女《クリス・ネバーエンド》
仏頂面の眼鏡男子《江神春斗》
紫闇、聖持、焔、三人揃っての幼馴染み《エンド・プロヴィデンス》
クリスは焔の方を見ている。
軽い声はエンドのもので、彼は特に何かしらの理由が有って声を掛けたのではないだろう。
相変わらず何も考えて無さそうだ。
硬い声は春斗のもので、彼は先ず紫闇の方に目を向けてから視線を焔の方へと移す。
「俺は龍帝学園一年の江神春斗。いきなりの質問で済まぬが其方の女子に御尋ね申す。黒鋼の一族とお見受けしたが如何に?」
肯定した焔が首を縦に振る。
「では其処なる立華紫闇に闘争の技を伝授した人間は其方ということで理解をしても構わぬのだろうか黒鋼の者よ」
「ああそうさ。まあ本当はもう一人紫闇を鍛えていた人間が居るんだけど、彼は今この関東に居ないからね。【魅那風流剣術/みなかぜりゅうけんじゅつ】の小倅君はエンド君に指導を受けたんだろう?」
焔が春斗の隣に立つエンドを見て笑った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うむ。魅那風流の『剣士』ということに拘って剣技だけ極めるのも一つの道だが今まで魅那風流に無かったものを取り入れて強くなる方が俺の性に合っていたのでな」
焔の指摘に春斗は楽しそうだ。
そんな彼は紫闇を見詰める。
「黒鋼という『鬼』と出逢ったことで自身も鬼と化したのだな立華紫闇。俺が選んだ『人』とは違う道だが互いが同じ鬼になって戦うよりも面白くなるはず」
(今の立華を試してみたい気は有るのだが、はてさてどうするべきか)
春斗と紫闇が互いの顔を見合わせながら愉快な状況にニヤついていると邪魔が入った。
黙って話を聞いていたクリスだ。
「ハルト、あんたのターンはここまでよ! ここからは私のターンなんだから無駄っ! あんたの苦情は一切受け付けないわッ!」
彼女は焔に向かって歩いていく。
「何処の誰なのかは知らないけど良〜い感じの踏み台になってくれそうねぇ。それに相当な強さみたい
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