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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
最高に最低な──救われなかった少女 T
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発的な笑みにも見て取れる、それ。ただ、語感からすれば……何故か、虚弁を述べているような気はしなかった。
小さく溜息を吐き、隣に座っている理子を一瞥する。本当にこの子は、不思議だ。時折見せてくれる差異が、面白いのだから。


「ほら、そういう冗談はいいから、腕から離れておくれ。それよりも──今回の目的を、忘れたワケじゃあるまい?」
「ちぇっ、理子は本気なのになぁー。据え膳食わぬは男の恥、だよ? ぷんぷんがおー、ってやっちゃうぞ! がおー!」


理子はそう言うと、もう片方の空いている手の人差し指で、ツノ(・・)を作った。人差し指をツノに見立てた『ぷんぷんがおー』とやらは、理子のお家芸なのだろうか。


「ふふっ、いいから、ほら。始めるよ」
「あ、笑った挙句に無視したね!? ……ふーんだ、もう理子は離してあげないんだからっ! ぎゅーっ!!」
「痛い痛い痛い、離さなくていいからちょっと緩めて……!」


その小柄な身体のどこから、およそ暴力の権化のような握力が生み出されたのか。甚だ疑問だね。普通に痛いから困る。

……しても、色々と軽々しい、と思ったのは気の所為ではないらしい。このフレンドリーさも、全く変わってないね。
まぁ、下手に変わっても、こちらが気まずかったりするだけなのだが。その点、理子と一緒に居るのは心地が良いかな。


「それより、理子とこんなことしてていいの? 聞きたいことがあるんじゃない? 《イ・ウー》とかぁー、《魔剣》とかぁ」
「分かってるなら早く本題に入ろうよ……」
「うっうー、了解! なのですっ!」


敬礼するような珍妙なポーズで、理子は応えた。
『そんなことは資料に書いてあるよ?』と言わないあたり、この子はこちらの意図を分かっているのだろう。
何にせよ、再確認(・・・)の時間は、必要だからね。

理子は自由なもう1つの片腕をおもむろに動かすと、その華奢な手を顎に当てて、数瞬だけ考え込んだ。眉間に皺が寄る。
どう説明しようか決めあぐねているらしく、時折、小指で前髪を弄る仕草を見せている。
その度に、女子特有の甘い匂いが鼻腔を刺激した。アリアが持つクチナシの芳香とはまた違う、バニラエッセンスのような。


「……んー、理子からは差し障りのない部分だけを話すことにする。話しすぎると、ちょっと危ない(・・・)から」
「危ない?」
「《イ・ウー》は簡単に言えば、学校。能力と才能のある人たちだけが集まって、お互いに吸収したり、高めあったり。いずれは神の領域まで到達するような、そういう組織なんだよ? だから、一口に『犯罪組織』というのは違うかなぁ」


なるほど、それが《イ・ウー》の教育方針か。
個々の能力を高める、他人の良点を吸収する、そうして、達
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